標的16 ヴァリアーと出立−２ ページ44
麗羅視点
少し離れた所でジェット機の準備をしていた隊員が戻って来た。
もう何時でも飛べるとの事だ。
少し名残惜しいが、そろそろお別れの言葉を告げなければ。
ベルさんとルッス姐さんに向き合うのと同時に、ベルさんに抱き付かれた。
ベルさんのボーダーシャツが目の前に来て、驚愕のあまり硬直した。
鼻に入って来る匂いとか、規則正しい鼓動の音とか、ベルさんを感じて動悸が激しくなる。
｢運んで来た時も思ったけど、姫って小さいから抱き易いぜ｣
｢あ、あの、ベルさんっ｣
「離して下さい」と言う前に、ベルさんの腕が解かれた。
丁度吹き付けて来た弱風が、火照った あたしの顔を冷やす。
ベルさんは あたしの顔を覗き込んで、「うししっ」と例の笑い方をする。
本当、人を弄ぶのが大好きな人だ。
遊ばれているのがムカついて、あたしはベルさんを睨み付けた。
｢麗羅、行くぜぇ｣
既にジェット機の前にいたスクアーロさんに声を掛けられて、あたしは慌てて走り寄った。
あたしとスクアーロさんがシートベルトなる物を付けた処で、ジェット機が起動した。
どんどん下へ下へと流れて行く景色に興奮していると、スクアーロさんが地上を指差した。
見下ろすと、ベルさんとルッス姐さんが手を振っていた。
ルッス姐さんは、何故か白い布切れを咥えている。
ベルさんも、スクアーロさんも、ルッス姐さんも、暗殺者とは思えない程好い人だと思った。
沢田綱吉さんを始め、日本の人達とも親しくなれたら良いなと思う。
(よーし、日本でも頑張るよー！)
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作者名：レイチェル | 作成日時：2018年3月14日 14時
