第119話:目覚め ページ21
天月side
思わずこぼれた本音を皮切りに、僕の口は勝手に動き出す。
天)「わかってるんだよ、皆を傷つけることも、騙すような方法だってことも…全部っ…!」
美)「…天兄。」
天)「けど、この方法が1番良いんだ、この方法じゃないと愛希がっ…!!」
美)「天兄っ!!」
そこまで!と言わんばかりの美希の声量で、僕はようやく我に返る。
天)「あ…」
今、僕は何を言おうとした?
自分が言いかけた事に気づいて、僕は青ざめる。
天)「僕は…」
なんて事を言おうとしたんだ。
僕は、僕は…愛希が1番触れられたくない"アレ"を…
天)「っ…ごめん」
美)「仕方ないよ、うちも本当はこんな方法はしたくないもん」
坂)「…?」
僕らのやり取りに、坂田はまだなにか隠していることがあると分かったようで、頭に?マークが浮かんでいた。
そのことに気がついた美希が、慌てて口を開く
美)「坂田さん、どうかこのことは内密に…」
坂)「けどっ…!」
«バタバタ»
坂田が、美希の言葉に反論しようとした瞬間、複数の足音が聞こえてきた。
浦)「愛希ちゃんは!?」
天)「!皆…」
やはりと言うべきか、その足音は浦さん達皆のもので、僕らと目が合った途端、真っ先に愛希の容態を聞いてきた。
天)「愛希は…」
なんて伝えるのが良いんだろう。
僕が答えに詰まっていると、遠くから看護師さんが駆け寄ってきた。
看)「天宮さーん!」
天)「!は、はい!」
看)「ハァ、愛希さんがっ、ハァハァ…目覚めましたよ!」
走ってきたのか、息があがりながらも満面の笑みで、看護師さんははっきりとそう言った。
全)「っ!!」
美)「よ、良かった…良かったぁ…」
看護師さんの言葉に、まず反応したのは美希だった。
安堵の表情を浮かべ、涙を浮かべている。
他の皆も、美希に続いて安堵の表情を浮かべていた。
…ただ2人を除いて。
坂)「っ…」
??)「…?」
今思い返すと、彼は坂田の表情を見て訝しげな表情を浮かべていた。
けれど僕は、その時坂田のことばかり気にかけていてそのことに気づかなかったんだ。
その後程なくして、叔母さん…愛希の母、清美さんと合流した。
すぐにでも、313号室…愛希のいる病室に行きたかったが、僕らは担当医の先生に呼ばれた為、皆と別れた。
別室にて。
(先)「…落ち着いて、聞いてください。」
そして、担当医から告げられた内容は、希望とも絶望とも言える話だった…。
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ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2022年8月26日 10時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほりはる | 作成日時:2022年4月11日 8時