検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:1,509 hit

第117話:告白 ページ19

天)「…え?」
僕は、背後から聞こえた物音に嫌な予感を抱きつつ、恐る恐る振り返る。
天)「さか、た…?」
そこには、唖然とした表情で佇む坂田の姿があった。
どうして?いつからそこに、居たの?どこから聞いていたの…?
でも、次々に湧き出てくる疑問は全て愚問なのだと。次の瞬間、僕は悟った。
坂)「…やっぱり、そう、なんやな…」
坂田は、独り言のようにそう呟くと、納得と悲しみを湛えた複雑な笑みを浮かべたから。
美)「気づいて…いたんですか。」
坂)「うん。けど、気づいたと言うより持病持っとるんかな、っていう予感くらいやで。」
そういえば、坂田は看護師免許を持っているんだっけ。
坂)「なぁ…説明してくれへんかな、病気のこと…」
坂田の言葉に、僕と美希は一瞬視線を交える
〘説明した方がいいんじゃない?〙
〘はぁ…仕方ない。出来れば姉さんの許可無く言いたくはなかったけど…〙
目線だけで、それだけの会話を交わした僕らはやがてゆっくりと頷いた
美)「…分かりました。」
【※今から出てくる愛希の病気の症状等は、全て架空のものです】
そして美希は、自分の中にある不安を押し殺すように深呼吸をした後言葉を紡ぎ出した…
美)「…という感じの病です。」
坂)「そんな…でも、確かその病気は…」
美)「はい。幼少期に行われるワクチンの効果や初期症状が現れやすい為、重症化する可能性は極めて低い病です。」
坂)「ならなんで…!?」
天)「…愛希がこの病気に感染したのは、多分小3の時。坂田は知ってるだろうけど、この病の進行は、最初はかなりゆっくりなんだ。仮に初期症状がすぐに出ても、第2段階に行くまで数年かかることもある…」
僕の言葉に、坂田の目が見開かれる。
坂田の心情を察したのだろう。美希はひとつ頷いた後、言葉を続けた。
美)「姉さんの場合がそれでした。しかも当時、事故にあい、右の手足に軽い麻痺等を患った状態。…事故の後遺症だと思っていたものが初期症状だとは誰も思わなかったんです。」
淡々と紡がれる言葉の数々が、坂田に襲いかかる。
坂田は、受け入れられないとばかりに顔を歪めた。
美)「他にも、初期症状はありましたが…事故の影響だろうと誰一人疑わなかった…」
天)「そしてとうとう、重症化した。…そして、この病気は重症化したら最後。死を待つしかない。」
美)「特効薬や治療法は今も尚研究中らしいので、姉さんの病状からしてもう長くないそうです。」
坂)「そんな…!」
美希が口を閉じた瞬間、坂田は膝から崩れ落ちた。

第118話:当初の予定→←第116話:可能性と覚悟



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.8/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , シェアハウス , 男装
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2022年8月26日 10時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ほりはる | 作成日時:2022年4月11日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。