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第114話:示す意味。 ページ16

俺はすぐさま、愛希を抱き起こし、声をかける
さ)「愛希!愛希!愛希ぃ!!」
何度も、何度も、愛希の名前を呼ぶ
でも、氷みたいに冷たくなった愛希からは、反応が返ってくることはなくて
さ)「っ…」
最悪の想像をしてしまった俺は、愛希を強く抱きしめる。
愛希の顔に張り付いた髪をどかしてあげようと顔に手をやった時、俺の手に息がかかったのを感じた。
さ)「…!」
弱々しく頼りない呼吸だったが、俺はほっと胸を撫で下ろす。
でも、安心しちゃだめだ。この体温や怪我から、どれぐらいヤバいのかは分からないが、少なくとも救急車は呼ぶべきだろう。
愛希が生きていることがわかったおかげで、頭も幾分か冷静に慣れたらしく、俺はそう判断した。
俺は、土手で今も尚探しているうらたぬきさんと坂田さんに向けて声をかける。
さ)「ここです!ここにいます!!」
浦,坂)「!!」
俺の声が聞こえたのか、2人が同時にこちらを向く。
スマホのライトを目立つように上に向けると、2人は光目掛けて走ってくるのが分かった。
浦)「愛希ちゃん!!」
坂)「!これは…」
2人がやって来て、愛希を見た時、2人の反応は異なるものだった。
うらたぬきさんは、安心したように涙目に。
坂田さんは、目を見開き厳しい顔つきに。
そういえば、坂田さんは看護師免許を持ってるんだった。
なら、愛希の今の状態についても分かるんじゃ…?
しかし、次の瞬間、坂田さんが怖い顔のまま言葉を発した。
坂)「ヤバいで、これ…うらたん!救急車や!!後、愛希ちゃんをはよあっためなきゃ…!!」
浦)「わ、分かった!」
坂)「ひとまず、愛希ちゃんを水から出すで!手伝ってや!」
さ)「は、はい!!」
坂田さんが足を、俺が頭を持ち上げて、ひとまず草が生い茂る場所へ、愛希を移動させる。
その上から、俺が羽織っていた上着を被せて、少しでも身体が冷えないようにする。
その間、うらたぬきさんは119番通報と、グループ電話で他の方々への説明をしてくれていた。
坂田さんは愛希を移動させた後、暫く脈をとったりしていたんだが…終わったのか、顔を上げた時にスッと目が細くなった。
さ)「…?」
坂)「なんや、あれ…光って…え?」
坂田さんの視線は、河原のある1箇所に注がれていた。
やがて、坂田さんはよほど気になったのか、駆け足で向かい、ソレを拾い上げたのが見えた。
やがて戻ってきた坂田さんが拾った物を見て、俺は眉をひそめる。
これは何を意味するんだろう。
坂田さんの手に握られていた物。
それは…愛希のスマホだった。

第115話:疑問と確信。→←第113話:発見!!



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ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2022年8月26日 10時) (レス) @page21 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ほりはる | 作成日時:2022年4月11日 8時

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