百六十八歩目。 ページ19
―ホークスside―
「もっと仲良く出来ないかな、荼毘」
脳無との戦いの後、倉庫街のある場所で荼毘と接触。
公安からヴィラン連合に取り入れと命令を受けてからすぐに行動に移し、結果、信用を得るために今回の脳無の性能テストに付き合った。
簡単に絆されてくれるとは考えていない。
ヴィラン連合の情報を得るためには慎重にいかないといけない。
俺がスパイだと怪しまれてる間はヒーロー活動と並行して上手くやっていかなければ。
ヴ―ッ...ヴ―ッ...
「！」
こんな時間に電話...公安は俺が荼毘と接触してるのを知ってる。
サイドキックにはこの時間に連絡は控えてもらうよう伝えてる。
関わりのあるヒーローか、他の人物か。
誰にせよ、荼毘の前で連絡を取る訳にはいかない。
「おい、切るなよ。俺のことは気にせず出てくれて構わねぇぜ」
「...静かにしててくれ」
「へいへい」
スマホを取り出し発信者を確認して思わず目を見開いた。
冷静に、表には出さない様にと気を付けていたのに。
荼毘の前で動揺を見せたらダメだ。
それより、掛けてきた相手も時間帯も予想外だった。
【遮止A】
相談したいことがあればいつでも掛けてね、なんて言いながら番号を交換したんだ。
あの子は周りに相談できない事が多いから。一人で頑張ろうとしてしまうから。
何の用かなんて一つしかない。きっとテレビで見てたんだろう。
「はーい、もしもーし」
〚あ、でた。こんばんは〛
「はい、こんばんは。もうすぐ夜明けだけどね」
〚貴方なら起きてるかなと思って。怪我、大丈夫ですか。エンデヴァーもですけど〛
「俺は平気。エンデヴァーさんは少しかかるけど目も無事だしすぐ復帰すると思うよ」
〚それは良かったです。今回の脳無、初めて見るモノでした。知能があったし、なんなら会話してましたよね？〛
「よく見てるね。さすが」
〚脳無なんて前例のない怪物気にならない方がおかしいですって。強いだけのからくり人形でも厄介だったのに頭使って動かれたら力でも判断力でも勝たないといけなくなるんですから〛
「そりゃそーだ、...ッ！」
相変わらず淡々としてるなぁ、とAちゃんとの会話に気を取られていたのがいけなかった。
警戒していたのに、反応が遅れて荼毘にスマホを奪われた。
「よぉ、Aちゃん。今日のはハイエンドっつーんだぜ」
ピッ
「余計なことしないでくれ」
「次はあの子も連れて来いよ。歓迎するぜ？じゃーな、Ｎｏ.２」
▽
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作者名：えると。 | 作成日時：2023年3月30日 22時
