スイカ ページ35
赤い紐が巻き付いた瞬間、僕の身体はグンッと引っ張られた。
驚いて目を閉じたが直ぐに開けた。
『強情だね』
開けた時に目に入ったのは、白一面と肩、背中に感じる温もり。
「聴いて下さい……私も、貴女と同じだったんです」
僕を腕に収めたまま彼は口を開く。
『どういう事……？』
そっと、紐を解き僕を離すジャーファルさん
「私は、小さい時にシャム・ラシュ教の筆頭をしていました。貴女と同じ暗殺者だったんですよ」
『な、そんな馬鹿な⁉あんな所に貴方がいた筈が……』
「あるんです！」
『⁉』
「私が今、こうしてここにいられるのは、シンが手を差し伸べてくれたからなんです」
柔らかく微笑む彼に、王サマは照れる〜と場違いな反応だ。
『王サマ、余裕だね？だから僕の侵入を容易く許したんじゃない？』
「いや〜ちょっと飲み過ぎてな？HAHAHA」
「シン？もう一度言ってくれますか？」
「あ、ヤベッ……」
『…………………』
……僕帰っていいかな？
一気に場がしらけてしまった。
「とにかく！これ以上貴女に暗殺をして欲しくないんです！あんな黒く血に染まった場が、明るい筈がない！私は本当の明るい所を知っています！」
急に本題に戻って一瞬反応が遅れた。
『………でも、僕には主が……義父さんが待っているんだ』
目を伏せて小さく言うと、今まで黙っていた王サマがフム、と考える素振りを見せた後、ポンッと手を叩いた。
「じゃあ君の主は逮捕しよう！」
『……』
「……」
『な、結局そういう事か‼主に手出しは……』
「待て待て、聴いてくれ」
ふぅ……と深呼吸してナイフを降ろした。
『あんたの考えてる事全く解らない。けどスッゴイ腹立つのは確か』
「酷い言い草だな。さっきも言ったろう？ここは年中人手不足だと、君ら父子には王宮で働いてもらいたい‼」
いきなりの爆弾発言に言葉を失った。
『…………一体どうして、あんた自分の言ってる事解ってる？僕はあんたの首狙ったんだよ？なんで側に置かせるの？』
「だって諦めてくれたんだろ？それに、解るんだよ。俺はまだ死なないってな」
ニカッと笑ったそれは、本物のようだった。
何故か、反論が出て来なかった。
僕は暗殺の生活が好きじゃなかった……？いや、主や仲間を思う気持ちは本物だった……
ならば何故、僕の頬に涙が流れる……？
「私が本物の明るい世界を見せてあげます」
「俺が本物の明るい世界を見せてやる」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sunijy(プロフ) - ユフィさん» ありがとうございます！上手なコメント返しが出来たか解りませんが…これからも頑張ります！ (2017年1月24日 19時) (
レス) id: b917364329 (このIDを非表示/違反報告)
ユフィ(プロフ) - Sunijyさん» 採用ありがとうございます！そしてアラジンくんコメントありがとう（笑）これからも更新頑張ってください(≧∇≦)/ (2017年1月24日 19時) (レス) id: fb1a49826a (このIDを非表示/違反報告)
Sunijy(プロフ) - ユフィさん» コメントありがとうございます！ラズベリーを採用させていただきます。そんな貴女にはアラジンからのメッセージ！アラ「コメントありがとう！ユフィさん物知りなんだね！これで作者も続きが書けるよ！」 (2017年1月23日 16時) (レス) id: b917364329 (このIDを非表示/違反報告)
ユフィ(プロフ) - こんにちは！Sunijyさん！果物の名前ですが、ラズベリーやオレンジとかはどうですか？ (2017年1月23日 16時) (レス) id: fb1a49826a (このIDを非表示/違反報告)
Sunijy(プロフ) - 月下さん» 採用はどんどんしていきますのでリク等もお願いします (2017年1月22日 21時) (レス) id: b917364329 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sunijy x他1人 | 作成日時：2016年12月21日 20時
