ビワ ページ16
『今でもはっきり覚えてる。あれは僕が5才の時ーー…』
僕の家はあまり裕福ではなかったけど、とても充実した毎日を、母と父と送っていた。
ある日、いつも通り友達と遊んだ帰り……
『母さん父さんただいま‼今日、ね……?えっ……?』
笑顔で家の戸を開けた僕の目に飛び込んで来た光景ーー
「お!帰ったかA!お友達とは仲良くしてるか?」
暗い部屋の床に散らばる沢山の紅い塊、ギラリと光る鋭利なものを片手に、何もなかったかのように僕を笑顔で迎える父。
『ぁ……あ、か、あさん?』
「どうしたA?そうか腹が減ったか?良し、飯にするか!早く手を洗って来なさい」
ただただ立ち尽くす僕の頭を撫で、男は部屋を出た。
『母さん……何でこんな……どうして?』
1人ぶつぶつと言う。部屋の外から早く来いよ。と聞こえるが、全身から力が抜けて膝から床に崩れ落ちた。
何とか自分で立ち上がり、卓について、いつもより沢山噛んで、通らない喉に無理矢理通らせた。
食後、男は飲みに行ってくるぜぇ〜。と出掛けて行った。
『母さん……母さん……ごめんなさい、僕が、悪い子だから……』
謝りながら、部屋に散らばる
埋めた後の記憶は無く、目が覚めたら自室だった。
目を開けると、広がる天井、顔を覗き込んで来た男。
『うわっ‼』
驚いて起き上がると、男は、幽霊が出た様な反応するんじゃない!と言う。
『ご、ごめんなさい』
「全く、帰ってきたら庭で寝てるんだから驚いたぞ、いくら部屋が汚いからって風邪でも引いたらどうするんだ」
『………』
無言で俯くことしか出来なかった。
「まぁいい、お前に紹介したい人がいる」
頭を傾げると、男の後ろから新たな見慣れない影が現れた。
「初めましてぇAちゃん!あたしぃカンナっていうのぉ〜今日から貴女のママになるのよぅ」
よろしくぅ。と、キツイ匂いを伴わせて、男と部屋を後にした。
『えっ……?』
あの人が、母さん……?何を言っているの?僕の母さんは……僕の母さんは……
シンダ………………
『……はは、そっかそっか……僕の母さんは、もうシンダんだ……はは』
乾いた笑いしか出ない。その数十分後、隣の部屋からは耳障りな音楽祭が始まった。
僕はこの日から感情を捨てた。
僕の母さんを殺した男に対する憎しみを残して……
『強くなろう……』
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Sunijy(プロフ) - ユフィさん» ありがとうございます!上手なコメント返しが出来たか解りませんが…これからも頑張ります! (2017年1月24日 19時) (レス) id: b917364329 (このIDを非表示/違反報告)
ユフィ(プロフ) - Sunijyさん» 採用ありがとうございます!そしてアラジンくんコメントありがとう(笑)これからも更新頑張ってください(≧∇≦)/ (2017年1月24日 19時) (レス) id: fb1a49826a (このIDを非表示/違反報告)
Sunijy(プロフ) - ユフィさん» コメントありがとうございます!ラズベリーを採用させていただきます。そんな貴女にはアラジンからのメッセージ!アラ「コメントありがとう!ユフィさん物知りなんだね!これで作者も続きが書けるよ!」 (2017年1月23日 16時) (レス) id: b917364329 (このIDを非表示/違反報告)
ユフィ(プロフ) - こんにちは!Sunijyさん!果物の名前ですが、ラズベリーやオレンジとかはどうですか? (2017年1月23日 16時) (レス) id: fb1a49826a (このIDを非表示/違反報告)
Sunijy(プロフ) - 月下さん» 採用はどんどんしていきますのでリク等もお願いします (2017年1月22日 21時) (レス) id: b917364329 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sunijy x他1人 | 作成日時:2016年12月21日 20時