【マギ ジャーファル】毒使いの好物はみかん

カリン ページ12

罵倒、見下し、罰言。それらの事を言われると、腹をくくっていたのに…
何で……？僕に礼の言葉なんてかけるの…？
昨日の男は続ける。

「貴女が酔い止めをシンにかけた方ですよね？」

『へ…？あ、あぁ…そう、だけど…』

そう呟くように答えると、その男はふふ、と笑った。
な、何なんだこの男は……？

『馬鹿に、しているのか…？』

目の前でリラックスして座っているこの男を力の限り睨む。

「ふふ、いえ、そんなつもりじゃないですよ、ふふっ」

『嘘つけ‼じゃあ何だその顔は！！！！』

手首が使えたら指を指していただろう…。というかそろそろ腕が痛い……。
まだニコニコしている男はふぅと息を整え、じ…と僕の目を見た。

「貴女のおかげで、シンに辛い想いをさせずに済みました」

『！！？？』

さっきから本当に何なんだこの男は？

『僕は、暗殺者なんだよ？お前の主(あるじ)の首を狙った……。なのに、何でお礼何て言うんだよ…？頭イカれてるんじゃない……？』

そう言うと、男は目を丸くした。

「ならば、









何故、貴女は涙を流しているんですか？」

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