第八十話 診察＆治療 ページ5
白澤side
「さて、大体器具は揃ったかな？麦ちゃん起きて」
医務室を借りてソファーに寝かせていた麦ちゃんのほっぺを軽く2、3回叩く。すると、うっすらと目を開けてくれた。
「大丈夫……じゃないね、喋れる？」
そう声をかけると力無く返事をして起き上がろうとする。
「寝たままでいいよ？」
『寝たままだと受け身取れないかも知れないので』
「何もしないよ！」
ボケる元気があるならとりあえずいいか。
デスクに置いたカルテを手に取りペンを持つ。
「さて、じゃ今の症状を教えてくれる？小さい事でもいいよ」
『！』
「どうしたの？」
『白澤様が初めてまともに見えた……』
目を丸くして目の前の子は誰に似たんだか……気にしたらダメだと思い、答えを待つと、向こうも真剣な顔になり考え出した。
『う〜〜…と、今は特に何も…』
「そう……」
単発的に出て来て変わる症状って事か、なら特定するのは難しいかも。そっちがその気なら……こっちだって漢方の権威で万物を知る神様何だ。薬何て目じゃないね。
「麦ちゃん、血液検査するから腕を出して」
『はい』
「ごめんね」
『っ⁉くぅ〜…』
「はい終わり、ガーゼで押さえながら待ってて」
『解りまし……た…』
パタッと彼女はまた眠ってしまった。
血液を採取する際に、彼女のツボを押して眠って貰った。
「ごめんね、すぐ終らせてあげるからね」
彼女のお腹に右手を乗せ、左手で印を結ぶ。
「さぁ、出るんだ……」
そう唱えると麦ちゃんの体が光を帯び出し、カッと一気に光った。目を開け、麦ちゃんを確認するとスゥスゥと落ち着いた寝息を立てている。
僕は麦ちゃんに背中を向けて顔を上げる。
「よくも麦ちゃんの体を荒らしてくれたね」
そこには黒い毛を靡かせ、ギラリと翠の目をした巨大な讙(かん)がこちらを睨んでいた。神獣化した僕よりは小さい位かな？
「貴様……何をした」
「教えてやる義理はないね、今すぐ自分から消えるか……永遠と僕に飼われるか、3秒で決めろ」
白衣のポケットに入れてたお札を向けると、讙は一瞬怯んだが、すぐに爪を立て、僕をなぎ払おうとする。
それを何も持ってない方の手で受け止めた。
「残念だったね？3秒経ったからアウトだよ」
僕は足に力を入れて讙の額の高さまで飛び札を貼った。すると讙は消え、札には讙の画が足された。
「神獣なめて貰ったら困るな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sunijy x他1人 | 作成日時：2016年12月7日 18時
