第百九話 ページ35
朧車に乗り込み2人でシロさんを挟んで座る。
『私朧車初めて乗りました!重くないんですか?』
顔をキョロキョロさせ落ち着きが見られない麦に、「全然余裕っすよ!」と朧車は言った。
「しかし……タクシーも大変ですよね。変な客もいるでしょう」
団子の入った風呂敷を開けながら話すと、「えっ、ああまぁ」と返ってきた。
「困ったお客様はどこにでもいますよね〜。あ、そうそう怖い話があるんですけどね〜!」
怖い話。というフレーズをきいた途端、麦の身体がビクリと跳ねた。
凄く解りやすく……
「麦こういうの苦手なんですか?」
『いや、あの、えっと……少しだけ……怖い話とか聴かされたことも見た事もないし……』
「つまり怖いと?朧車さん話して下さい‼」
『えっ!!??な、なして⁉なして鬼灯!!!!』
「いや別に……」
怯える麦がみたいなんて思ってません←
「いいんですか?鬼灯様?友人の体験談なんですけどね〜……」
『わーわーわー!シロさん‼ちょっと失礼します!!!!』
どうしても聴きたくないのか、麦はシロさんのお腹に顔を埋めた。
怖い話は続く。
「人気のない通りを女が1人……『あの、地獄の門まで……』その女は口数が少なく、やくに青白く しかし妙な存在感がある……そして地獄の門で牛頭馬頭が門を閉めようとした時……『待って閉めないで‼私 間違いだったのよ!』
その女……生きてたんです……臨死体験してやがったんスよ〜〜ねっ?怖いでしょ?」
『………なんか……思ってたのと違う』
「そういうのが朧車タクシー界の怪談なんですね」
「怪談かぁ……そう呼ばれた時もあったねえ」
『ひゃあっ!!??あ、なんだ提灯…………………提灯が喋った‼』
「麦落ち着いて下さい」
「喋る犬もいるのにこれに驚くの!!??」
というシロさんのナイスツッコミが入ったところで目の上にたんこぶをつくた提灯が口を開いた。
「アタシは提灯於岩ってもンさ、今でこそタクシーの明かりだけどね。昔はそこの姉さんみたいな別嬪だったんだよォ」
『そんな別嬪だなんて……ありがとうございます於岩さん』
「あんたをみてたら夫のこと思い出したのさ。アレも顔は涼しい男だったね〜、あぁ呪った日々が懐かしいね〜」
『夫呪ったんですね……』
「麦は私を呪いますか?」
『夫じゃないから解らないし、鬼灯は呪われるような事しないから大丈夫よ』
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sunijy x他1人 | 作成日時:2016年12月7日 18時