第百六話 ページ32
『そう言えばお香さんと一緒に入るのは初めてですよね。大浴場』
脱衣所のカゴに着物、帯の順に乗せる。
「あらぁ麦さん早いわね〜」
『先に行ってますね、お香さん急がなくていいですよ』
うふふと微笑むお香さんに背を向けてタオルを鎖骨の下から垂らしかかり湯を被った。
「麦さんお待たせしました〜」
『お香さん、待ってないですよ』
「あ、そうだ。麦さん背中流しますよ!」
ポンっと手を叩いたお香さん。
『え⁉そんな、悪いですよ!タオルで擦りますから!』
「あんまり擦ると皮膚が荒れますわよ?ささっ遠慮なさらず!」
あっと言う間に椅子に座らされた。
どうやら逃す気はないようだ……
『分かりました……お願いします』
「はい!」
半分諦めを交えてちょっとくすぐったいお香さんの手の感触に耐えた。
『っ……、にゃっ‼』
あ、変な声が出てしまった……
「あらあら可愛い反応……いじめたくなっちゃう」
ヌルヌルと背中を這うお香の手に我慢が出来なくなった。
『////も、もういいです‼ありがとうございます!!!!』
ザバァッとお湯を被って泡を流す。
「あら残念」
『お香さん!』
自分の体を抱き締め後ろのお香さんを睨んだ。
「ごめんなさいね、あまりに可愛い反応するものだから……」
『もう……』
『ふぅあ……あふ……』
「可愛い欠伸しますね、麦」
『あ、鬼灯……残業?』
をもうすぐ終わります」
髪を乾かして牛乳を飲みながら部屋に帰っていたら朝以来の鬼灯に会った。
『大丈夫?すっごい眠そう……』
「いえ、慣れてますから……それより……」
『?』
「お風呂あがりはいつもそれを?」
『牛乳?あぁ〜そんなに意識してないけど、考えたら毎日飲んでるかなぁ?どうして?』
「特に意味はありません(それでそんなに成長しちゃったんでしょうかね?)」
『?まぁいいけど……じゃあ頑張ってね鬼灯』
「あ、麦」
『何?』
帰ろうと踵を返す途中で鬼灯に手首を掴まれた。
「私は今から残業です。昼間大王がサボった分を片付けないといけません」
『手伝おうか?』
「いえ大丈夫です。それより、私は疲れました」
『………………癒せと?』
「ご名答」
『解った……何したらいいかなぁ?うーむ……』
「キス」
『ハグは今朝したしな〜』
「キス」
『……解ったごめん怒んないで怖い』
麦御の一日おわり。キスしたかどうかは想像で!
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作者名:sunijy x他1人 | 作成日時:2016年12月7日 18時