第九十一話 ページ17
法廷に着いたはいいが、麦が離してくれない。
まあ櫟さんの機嫌が悪くなる様を見れるのは満足ですが。
「あ、麦ちゃ……ん?あれ?その子…何処かで……」
ドーナツを口端に付け、う〜と悩み出す大王
「遂にボケが始まりましたか大王」
「あ、鬼灯君か……櫟君も来てたんだ^_^」
『あんまり驚かないんですね?つまらない』
「あはは……一応初対面の時は鬼灯君小さかったからね。それより、鬼灯君そのままじゃ仕事し辛いと思うから、麦ちゃん鬼灯君戻るまで一緒にいてあげたら?」
大王がニコッと言うと、麦も笑って「いいですよ」と答えた。
『鬼灯、私に出来そうな事は何でも言ってね?前のお礼も兼ねて頑張るから!』
私を抱っこしたまま、ねっ?と微笑むこの人(鬼)はズルい。
「あんまり面白くなかったし、麦御も仕事するならつまらないな、帰ろ〜またな麦御〜〜♡」
『ハイハイちゃんと真っ直ぐ帰るんだよ』
解ってるって、と片手をひらつかせながら櫟さんは閻魔殿を後にした。
『鬼灯、まずは何をしたらいいの?』
「降ろして下さい」
間髪入れずに言うと、流石に長かったと思ってか、優しく降ろしてくれた。
それから暫く2人で書類を整理していると、
グゥー
「お腹空いた……」
机にグデ〜〜とするトト□に見兼ねたのかなんなのか、麦が食堂に行きますかね。と言った。
ーー
食堂
ーー
『鬼灯おまたせ〜。はい親子丼〜』
「ありがとうございます。すみません、運んでもらって……」
テレビの前のテーブルに座り、麦を待っていたら目の前に親子丼を乗せた盆がおかれた。
よいしょ、と私の隣に腰掛け、麦は手を合わせた。
麦「気にしない気にしない。ほら、食べよ?」
「はい……あ…」
机が高過ぎるのと、椅子が低いので、非常に食べ辛い。
『大丈夫?』
正直大丈夫ではないが……
「すみません。麦、器を取ってもらえますか?」
自分の膝の上で食べれば零す事はないだろう。
『……はぁ〜』
すると麦は溜息を零した。
「⁉」
やはり、迷惑を掛けてしまった……
大切な彼女に迷惑を……
「麦、すみませんでした…」
目を逸らして呟いくと、ふいに、身体が浮いた。
『これなら食べられるね』
麦は私を膝に乗せ、満足気だ。
「お、降ろして下さい!貴女に迷惑掛けたくないんです!」
両手をバタバタさせると、後頭部をペチ…と叩かれた。
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作者名:sunijy x他1人 | 作成日時:2016年12月7日 18時