言の葉未満season three (ページ14)

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第八十八話新年明けましておめでとうございますページ14

作者ナレーション↓

今麦御は法廷の机に腰掛ける大王に手を出していた。

『鬼灯！大王！明けましておめでとうございます！大王お年玉くれますよね？』

「新年の挨拶早々それ⁉まぁ、いいけどね、はいどうぞ、今年もよろしくね」

『よろしくお願いします』

「麦、明けましておめでとうございます。私からもお年玉あげますよ。こっちへいらっしゃい」

『えっ！そんな！いいよ』

「いいから早く来なさい」

手招きに従い何も疑わず近く彼女を、鬼灯は抱きしめた。

『えっ⁉』

戸惑う麦御を他所に、彼氏は彼女の顎に人差し指と親指を添え上を向かせた。

『えぇっ⁉』

チュッ……と、鬼灯は彼女の額にキスを落とした。

『お年玉がこれ⁉なんなの新年早々！////』

「唇がご所望でした？いいで(『やらんでいい！』残念です」

ぜぇぜぇと息を乱す麦御を鬼灯はやっと離した。

「優香さんのせいでクリスマスどころじゃなかったので……初キス頂きました」

いつもの無表情で堂々と話す鬼灯に、麦御は呆れの目を向けるしか方法がなかった。

「相変わらずだなぁ～！鬼灯様と麦姐さんは」

「そうだな……」

『あれ？あ！唐瓜さんに茄子さん！なんか久しぶりですね～』

「「明けましておめでとうございます！」」

ペコッと下げられた頭を撫で、麦御もおめでとうございます。と言った。

「麦さ～～ん！」

入口から優しいお姐さんボイスが聞こえ、一同が振り向く。

『お香さん！』

「貴女にお客様よ」

お香が入口を指差すと、そこから小さな影が、

「麦御～～♡んぎゃ⁉」

「貴方も毎度毎度懲りないですね～」

麦御大好き従姉弟の櫟登場。

「くっそ！邪魔する…んぶっ！」

鬼灯は麦に飛び付こうとした櫟の頭を掴み、自分の頭の高さまで持ち上げ、手を離した。

『櫟……大丈夫？』

「その全く心配してない目で大丈夫？とか言うな！後お前！何回俺落とせばいいんだよ！」

「私はショタコンじゃありません。失恋して頂きたい」

「そっちの落とすじ…(「麦御様～～♡‼」誰だ！」

『あ！愛菜さん！』

「あぁ～麦御様会いたかった～」

キレる櫟を無視し、麦御の胸にダイブし、頬ずりをする愛菜。

「貴女も懲りないですね。麦は私のですよ」

『わっ！』

愛菜を剥がして自分の腕の中に麦御をおさめた鬼灯の顔は、何処か満足気だった。