第八十七話 ページ12
「成宮 優香。違法な薬 物を無理矢理他者へ摂取。その他諸々の罪で、貴女の身柄を確保する」
「チッ……」
「義経公、わざわざ来てもらってありがとうございます」
「お手を煩わせてしまって、すみません」
優香さんに手錠を掛ける義経公に頭を下げると、義経公は軽く微笑む。
「お二人が気にする事ではありませんよ、私達も何か証拠を掴まねばならないと、常々悩まされていたものですから」
逆に感謝します。とまで言われた。
この後、愛菜さんの妹、優香は烏天狗警察によって連行され、後に過去に起こした様々な罪も暴かれ、牢屋生活がスタートを切った。
「閻魔大王‼麦と白澤さんは何処ですか！」
急いで閻魔殿に走り、居場所を聴く。すると大王はおかえり。と言う。
話が噛み合わなず、大王に殴り掛かろうとすると、後ろから服を引っ張られた。
「今忙し……‼」
『鬼灯……私は此処だよ？』
「麦‼」
振り向くと、そこには今にも泣きそうな顔をした、とても言葉では言い表せない愛しい麦の姿が。
私はいつにも無く焦り、麦の容体を確かめる。
『鬼灯……』
「麦、起きて大丈夫なんですか？まだ横になってた方が……⁉麦？」
焦り過ぎて周りが見えて居らず、突然の麦の抱擁に言葉が詰まった。
『鬼灯、おかえりなさい。それと、私の為にありがとう……』
いつもの優しく暖かい笑顔を見せた麦。
「ただいま、帰りました」
『！！？？』
「なんですか？」
『一瞬、鬼灯が笑ったような……』
きょと〜んとする麦を抱き締めた。
この笑顔を、ずっと側で見ていたい。守りたい。
そう願い、どちらかともなく、
キスをした。一瞬の時だったけど、とても長く感じた、甘い時間だった。
「……いつまでイチャコラするつもりだお前等」
「シッ！いいじゃないか。二人共あんなに嬉しそうなんだからさ」
「誰のおかげで麦ちゃんが無事だったと……はぁ〜。仕方ない。閻魔様、後日請求書は送るからね。再了(バイバイ)」
「さよなら〜またね」
後から聞いた話によると、成宮院は潰れ、従業員の方は皆、各地獄の獄卒となったそうだ。
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作者名：sunijy x他1人 | 作成日時：2016年12月7日 18時
