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＿＿
またあしたも、か。
昨日の去り際の言葉を何度も思い出しては､嬉しすぎてバタバタと足を動かす｡
ソファの上でクッションに抱きつきながらそんなことをすれば､母には変に見られるわけで､大丈夫？と心配をされた｡
早く夕方にならないかな｡
海の王子様に会いたいと思うほど､ゆっくりと時を刻む時計がもどかしい｡
何をしても頭の中は王子様の事ばっかで埋め尽くされて､心がモヤモヤしてなんだか落ち着かない｡
｢A､そんなに落ち着かないなら今日は早いうちから海に行ってみたらどう？｣
さすがに今からじゃ早すぎるけどね｡
時計の短い針はまだ11を指している｡
早く行ったとして､同級生に会ったらどうしよう｡
｢不登校なのになんで海にいるの？｣とか言われたら､なんて返せばいいんだろうか｡
さっきまで海の青色のように澄んでいた心も､夜の黒にどんどんと染まっていく｡
マイナス思考に陥った私に気づいたのか､自分の好きなようにしていいのよと母は優しく頭の頭を撫でた｡
高校3年生にもなって恥ずかしいと言いたかったけど､まるで自分を責めているかのような表情をした母を突き放すことが出来なかった｡
｢ごめんね､A｣
『大丈夫だよ』
そう言えたら､楽なのに｡
＿＿＿
どんより気持ちはブルーのまま､昨日より早い時間に家を出た｡
空はまだ青いままで､同級生らしき人も見当たらないため､深く被った帽子を脱いで海まで歩く｡
長期休みじゃない時の海は人っ子一人いない｡
この静けさが案外気に入ってる私には丁度いい｡
まだ学校が終わってる時間帯じゃないし､ただ待ってるだけでは暇だから､海水に足をつけてぴちゃぴちゃと足踏みをしたりして時間を潰した｡
今日はスカートだから少し上で裾をキュッと結べば､膝下まで浸かることが出来て､その冷たさに思わず身震いをしてしまう｡
早く会いたいなぁ｡
そう思っていながらも､学校だから仕方ないと自己完結をして､少し冷たいし1回上がろうかと踵を返す｡
｢まって｣
どこからか声が聞こえたかと思うと､腕を掴まれて強い力で後ろに引かれる｡
咄嗟のことで重力に従うように体を引っ張られると､勢いよく波は音を立て､私は海の中に引きずり込まれる｡
すぐに水面から顔を出せば､そこには海の王子様が立っていた｡
｢こんにちわ、『にんぎょひめ』さん｣
太陽の光に照らされた王子様は､神秘的で､まるで『神様』のようにも見えた｡
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むに - めちゃくちゃ良かったです！ ただ、あんのてい？って書いてあったところが誤字なのかなぁと気になってしまいました…。多分案の定(あんのじょう)と書かれたかったのかなと…、作品はとても素敵でした！ (4月29日 5時) (
レス) @page14 id: 624c087a05 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇(林檎飴)(プロフ) - ぷかちゃん最推しなのでこういう作品本当にありがてぇ…可愛いです… (2020年10月11日 0時) (レス) id: 1b3bd211bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rice | 作成日時：2020年10月4日 17時
