アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ8)

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第52話こわせるページ8

【ノーマンside】

「は！？ “発信器を壊せる”をシスターに掴まれた！？」

「利益もあったがしくじった。決行日を早めたい……」

僕は昨夜のことをレイに話した。

怪しまれないように質問はちゃんと選んだし、僕もエマも失言なんて一切していない。

けど、シスターは更にその上をいっていた。

シスターは最初から僕らが失言しないことを想定し、“僕らの言葉”だけでなく、“自分の言葉に対しての僕らの反応”を見ていたこと。

幸い“証拠”は掴まれてないけど、グズグズしてられない。

「発信器はいつ壊せる？」

今日の下見はぬかりなく。

これに対してレイは「マジか……」と言いたげな顔をしたが、次にベッドの引き出しを弄り始めた。

そしてその更にしたの床をひっぺがし、中から取り出したのは掌位の大きさをした黒い箱だった。

「昨日お前らがシスターの部屋へ行ってる間ママから貰った」

中を開けると……

「……インスタントカメラ？」

旧型のカメラだった。

これが、レイの言ってた“報酬”。

……凄いな。本物(カメラ)なんて初めて見た。

「そいつを待ってた。それで最後のパーツが揃ったんだよ。もういつでも発信器は壊せる」

「……！！」

そう言うレイの顔は真剣そのもので、嘘なんて微塵も感じなかった。

本当に発信器を壊せるんだ。

レイ、君ってやつは本当に恐ろしいよ。

「下見次第で決行日を早めよう、隠してた手の内を奴に読まれたのは厄介だ」

ああ、厄介だ。なぜなら。

────レイが持つ発信器の無効化手段こそ、決定的“証拠”！！

証拠だけは絶対掴まれてはいけない。

掴まれる前に早いとこ下見して逃げる。

ママへの対処は変わらない、何かあれば下見は即中止。

「シスターはシスターで手を打とう」

必ず今日の下見は成功させる。

そうすれば、僕らの明るい未来はすぐそこなんだ。

絶対成功させる。

────絶対に“全員で”ここを脱獄(で)るんだ

(そういえば、Aは“報酬”のこと知ってるの？)
(あー……知ってるってかバレて、誤魔化し文句として“誕生日プレゼント”ってことにした)
(なるほど……)
(……けど、そのせいで“誕生日って1年に12回もあるんだね”って言ってきたことあったからさすがに焦ったわ)
(……………………)