アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ9)

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第53話しすたーページ9

【フィルside】

気がつけばお昼ご飯の時間！

おせんたくみんなでやって、おなかもペコペコ。

今日はなんだろう？

ぼくの好きな物でるかな？？

考えるだけでウキウキしちゃって、スキップしながら食堂に向かった。

その途中、3つあるぼくらの寝室のドアが開いてた。

右の部屋……レイの部屋。

……？

中をのぞくと、シスターがやけに怖い顔でレイのひきだしをあさってた。

……んー？

「何してるの？」

ふしぎに思ってぼくがたずねると、シスターはビックリしてあさるのをやめた。

こっちを見て、目が合うとふわりと笑う。

「ちょっと探し物！」

「ふーん」

探し物？

レイのひきだしで？

────へんなの

様子がおかしいからもっと見てたかったけど、おなかのペコペコに負けて、ぼくは“しょくどう”に向かった。

Aとマーニャと一緒にお皿を並べて、スプーンとフォークを並べた。

いっぱいお手伝いをしたからAがぼく達の頭をヨシヨシしてくれたんだ。すごく嬉しかった！

「じゃあ、そろそろママとシスターも呼んでこよっか！」

「「うん！」」

ぼくはハンドベルを持って、マーニャとAと一緒にハウス中をかけまわった。

ママとシスターを探す旅。

チリンチリンと鳴るハンドベルの音が廊下に響き渡る。

「ねぇ、A？」

「んー？どうしたのマーニャ」

すると、マーニャがちっちゃい声でつぶやいた。

「……もうすぐでお誕生日だね」

……そうだ、あとちょっとでAもレイも12歳。

里親の元に行っちゃう。
ハウス(ここ)を出ていくんだ。

嬉しいはずなのに……なのに……

────喜べない

「手紙書いてね！私待ってるね！！」

「……うん、書く……いっぱい書くね！」

そう言ってAは笑った。
けど、その笑顔はぼくの好きな笑顔じゃない。

とても辛そうな顔だった。

けど、それはほんの一瞬で。

「さ！今はママとシスターを探さなきゃ！」

Aはすぐにいつもみたいな笑顔に戻った。

けど、繋いだ手は小刻みに震えていた。

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「マーマー！シスター！ごはん用意できたよー！！」

……あれ？シスターがいない？？

「シスターは？一緒じゃないの？？お部屋？」

「いいえ、ちょっとお仕事。先にいただいてしまいましょう」

それから1日、シスターは戻ってこなかった。