アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ24)

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第68話あやまってもページ24

【ノーマンside】

刹那、伸ばした手が硬直した。

脳との通達を絶ったように身体中が動かなくて、頭が真っ白になる。

聞き間違いなんかじゃない、確かに今言った……

────“死なないで”

A……やっぱり君は……

「なんで……なんでノーマンなの……？おかしいよ……！どうしてノーマンが“出荷”されないといけないの……？？」

急な叫びでハッと我を取り戻させた。

叫び……違う。これは “嘆き” だ。

僕の手を強く固く握りしめる君の手は、震えている。

「おかしいよ！！エマは足を折られて、ノーマンが出荷されるなんてどう考えてもおかしい！！なんで今なの……なんでノーマンなの……なんで……どうしてノーマンじゃないといけないのさ！！！！」

「A落ち着いて！！」

感情のままに暴れるAを宥めたい一心で肩を掴んだ。

そのままAの体を自分の方に寄せて、今度は僕が細く小さな体を強く強く抱きしめる。

「落ち着いてA……僕はここにいる。怖くない怖くない……」

まるで小さい子をあやすように繊細に。

背中を優しく叩きながら囁き続けると、強ばった体から力が抜け、やがて僕に身を預けてくれた。

そして落ち着いた頃合いを見て、僕から話を切り出した。

「A……。ゆっくりでいいから、僕の言う質問に正直に答えて」

「…………」

小さく頷くのを了解ととり、1つずつ質問した。

「出荷」「鬼」「ママが敵」「僕らが脱獄を計画していること」……どこまで知っているのか、2択で答えられるように。

答えは全て…………肯定だった。

Aは全部知っていた。

全部知ってて、知らないフリをずっとしてたんだ。

どれだけ辛かっただろう。

ずっと1人で溜め込んで、話せる人もいなくて。

今になってやっと、Aが家族を見送る時に流してた涙のワケに気がつけたんだ。

「ごめんね。もっと早く気がついてあげるべきだったのに。こんな形で知ることになるなんて……」

本当に情けないな僕は……。

10年も一緒にいたくせに、Aのことを知った気になってた。

悔しい。

こんなになるまで君を追い込んでいたなんて。

やっぱり、レイの気持ちを押し切っても仲間に入れるべきだった。

あの時のエマの決断は正しかった。

────謝っても償いきれない

「ごめん……ごめんねAッ……！！」

君を抱きしめることしかできない僕を許して。