黒い脱獄者は神さまでした【ブルーロック】

: EP 15 ページ18

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それは突然の出逢いの中に生まれた好奇心。
ノエルの旧友(ライバル)だという男に初めて会った時。

痩せ型で目の下に色濃くついた隈が印象的な眼鏡の男。
酷く窶れた様にも見えるが、選手時代のハードな食生活の反動で不健康な生活を送っているらしい。俺が将来一番見習っちゃいけないタイプの人間だ。

しかしその男は、ノエルの旧友と名乗るに相応しい男だった。





「己の勝利に貪欲であれ。
世界一のエゴイストでなければ、世界一のストライカーにはなれない。」





つまりは成功する確率が低い賭けに挑むか、すぐ側に待機する仲間にゴール託すか。
前者を選ばなければ俺は一生ノエル・ノアを超える世界一のストライカーになれないんだと。

側から見れば暴論にも聞こえるが、彼の言っていることが間違っているとは思わない。
ノエルも言い方は違えど意味は共通していることをよく言ってくるし。





『世界一のエゴイスト...それがアンタの考え...っていうか正論だね。』

「お前はこの一見血迷った様にも思える理屈を受け入れるか？」

『嗚呼。揺るぎない勝利を手に入れる為なら、俺はどんな時も貪欲であり続ける。どのポジションに於いても俺が一番優れていて、誰よりも頂上の景色を見ることができる。』

「フン。流石は世界一のストライカーの愛弟子、といったところか。お前ならそう言うと思ったが、模範解答だ。」

『それはそれは、お気に召した様で何より。
俺もあなたの様な人間が日本のサッカー界に革命を起こしてくれることを待っているよ。それが何年、何十年後になるかは知らないけど』





指導者の腕が良くても選手自身の実力と勝利へのエゴがなければ日本のサッカー界は変わらない。

金の亡者であるJFUが今更変わるなんて無理だとは思うが、もし、この男、「絵心(えご)甚八(じんぱち)」の様にストライカーの何たるかを熟知し、サッカー界に新たな風を吹かせる人間がいるのだとしたら、





「そこは安心していい。
とっておきの、お前が満足に羽撃ける最高の青天を用意してやろう」





俺が本気で闘い合いたいと、そう思える奴に出会えるのだろうか。

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