P, 3 ページ3
空気が良く澄んだ、月明かりの照らす 幻想的な夜だった。
その日僕は 星を見たいという衝動に駆られ、小高い丘に行った。ふらりと。
空というものは 不思議と人間の心を惹きつける。
満天の星空だった。
今も思う、あれ程の星々の輝きは見たことがない。素晴らしいの一言につきるものだった。
星 を辿るうちに、何か異変を感じた。
一つだけ 動いているように見える。
こちらの方に…動いている、いや、落ちている。
流星ほど速くはない。
「あれは…?」
近くなるにつれ、それの輪郭がはっきりしだす。
「あれは、人…?」
焦った。
何故 人が、 と考える暇などなかった。
そうしているうちに地上へ近づいている。
あの人を助けなければという一心で魔法を放つ。重力魔法。
……ゆっくりと降りていく人影。
草の上にゆっくりと横たわる。
少し上から降りてくるあれはなんだろうか。
同時にそれが地に着いた瞬間、何者なのも分かった。
「杖…?魔導師…の…女性か…?」
それこそ、身にまとっているものではもう判別できなかったが、危うく取れそうになっている綺麗な花の形の髪飾りから 女性であると受け取れる。
怪我はしていないようだった。
しかし 意識はないようだ。
焦り、久しぶりに走った軟弱な僕にとって
家に連れて帰る以外の選択肢は 導き出せなかった。
疲れた、と ため息を吐く。
まさかこの出会いが、僕の人生を大きく左右する”転機”になるとは、思ってもいなかった。
3人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
璃咲(プロフ) - ユナン最高です!更新頑張ってください(^^)応援してます♪ (2017年3月17日 1時) (レス) id: f65780a08e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Scarlet | 作成日時:2015年10月30日 9時