推しと同じ事務所なんて聞いてない！【うらたぬき】 (ページ48)

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声優47 ページ48

. Aside

私は耳を疑った

いや、疑うしかないでしょうこの状況なら……

うらたさん……渉……

どちらにせよ同一人物だが、その人の隣になっていいものか私は考えた

思い返せば、私達は出会って一年も満たない仲で、私からすると"推し"という存在だった

うらたさんは、歌や放送で私たちリスナーを喜ばせたり楽しませてくれる

渉は、…私に限ったことじゃないけどいろんな人に優しくて、歌い手をやってる渉、すなわちうらたさんの時のような感じはほとんどしなかった

2人居るようで同一人物。

推しに仕事で会っちゃった、なんて夢みたいな話で夢じゃない

うらたさんは遠い存在で、渉はすぐそばにいる

こんなことを考えてるとおかしくなりそう

もちろん私はうらたさんが好き

大好きでこれからもずっと好きだと思う

でも渉はうらたさんを感じられない同一人物だけど

私だけに優しいわけじゃない、私だけに笑顔を見せてくれるわけじゃない

そう考えると悲しくはなるが当たり前だと思う

でも、過去の私を受け入れてそれでも尚隣にいて欲しいなんて告白されたら

私の答えはここまで悩むほど難しいものじゃなかった

答えはもちろん決まってる

私が渉に対して答えるのはこれしかない

『……私、は……ずっと渉のそばで笑ってたい……渉と一緒に幸せになりたい…！です…』

うらた「えっ…」

ありのままの気持ちを私も伝えたところびっくりして私の目を見てた

それから聞こえるような小さな声で

うらた「ほんとに…？ほんとにいいの…？」

『もちろん…！渉じゃなきゃダメみたい』

うらた「や、やった…っ…よかった…っ」

ほっとしたのか、安堵したのか、その場にしゃがみこんだ

『そこまで？w』

うらた「正直無理かと思ってたんだよ…なんつーか…過去があるからダメなんじゃないかって」

『過去なんてもう過ぎたことだから、渉が幸せにするって言うんだからそうしてもらわなきゃ私も困るんだからね？』

うらた「俺は絶対あんなやつみたいなことはしないから…」

『渉のことだけは何故か簡単に信じれる気がする。まぁ、信じすぎるのも悪いかな』

信じてくれよ！と言う渉に私は笑う

本当にこの人なら私のこと幸せにしてくれそう

うらた「リスナーにバレたら終わりだな」

『私もそこ心配かも』

うらた「ま、俺らなら大丈夫か」

『確かにw』

うらた「…俺は絶対おまえのこと笑わせてみせるから」

渉はそう言って、夕日が沈むその時

私たち2人のシルエットは重なった