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48話 ページ5

一瞬シーンと静まり返った。


今、俺は俯いて足元の砂利を眺めながら話している。


なので、周囲の様子はわからない。


でも、柱たちが驚いているのはわかる。









「どうしてだい?」


お館様の穏やかな声が、俺の耳に入ってくる。


それに応えるように、また言葉を紡ぐ。









「俺は鬼が嫌いです。」


「大切な人を奪った存在だから。」


「人々を不幸にしている存在だから。」









今、俺はお館様に、柱の方達に対して話している。


でも、頭に浮かんでくるのは師範だ。


ときどき師範が呟いていた独り言を思い出す。


鬼を殺すたびに師範が見せていた悲しげな瞳を思い出す。









「でも、俺の大切な人は、・・・師範は、願っていた。」


「『誰も傷つけずに、誰かを救いたい』と。」


「師範は、思っていた。」


「『いつか、人も鬼も分かり合える日が来てほしい』と。」









視界がぼやけ始める。


目から零れ落ちた涙が、足元の小石を濡らす。









「本当に我儘な理由だということは承知しています。」


「それでも、俺は鬼の可能性を信じたい。」


「師範の思いが、願いが、現実になると信じたい。」









俺は顔を静かに上げた。


そして、お館様を見つめた。


遥か遠くを眺めているかのような、その瞳を見つめた。


そして、はっきりと言った。









「彼らを、竈門禰豆子を信じたい。」









気づけば鬼を連れた隊士も、静かに涙を流していた。

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(プロフ) - こんばんは。お話とても面白いです!!これからも無理せず頑張ってください!! (2022年3月27日 20時) (レス) @page10 id: fb1d41063f (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - Ry osdさん» ありがとうございます、嬉しいです!更新不定期ですが、絶対に完結させます! (2021年2月10日 16時) (レス) id: 457d30fcd7 (このIDを非表示/違反報告)
Ry osd(プロフ) - 読み入ってしまいました。続きがあるのでしたら楽しみにしてます。 (2021年2月7日 18時) (レス) id: d8163f4fc3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作成日時:2020年11月10日 21時

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