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「・・・こっちおいで。」
「っ…。」
ギシり、とベッドが軋む。
そこに腰掛けた徹に手を取られて、腰に手が回る。
「…ごめん、ごめんね」
「…なんで?なんで徹が謝るの?」
私の腹部に顔を埋める徹。
「気付いてあげられなかったから。」
なにに?
「こんなに一緒にいたのに、Aのこと、わかってあげられなかったから。」
当たり前だよ。
私にだって、自分の事がわからない。
「…わからなかったんでしょ、どうすればいいか。」
そうだね、そうかもしれない。
だから真似したの。あの人を。母親を。
「もうこれ以上、自分の事をいじめないで。」
ねえ徹、あなたが
「…徹。」
どこまで私の事を知っているかなんて、私は知らないけど
「ん?」
どうすればあなたが、私のことを愛してくれるかなんて知らないけど
「…私のこと、抱いて。」
「・・・っ」
知らないから、知りたい。
「教えて、徹のこと。」
知らないなら、知ればいい。
「…それに、私のことも。」
私に空いた穴は何なのか。
何をもってすれば埋まるのか。
私の、この選択があっていたのかすら。
「・・・いいよ。教えてあげる。」
教えてくれるのは、貴方しかいないから。
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作者名:萌菓 | 作者ホームページ:https://twitter.com/fruit_kandume
作成日時:2017年6月15日 2時