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それで、そのあとどうなったかというと。
「準備できたの?」
「えぇ?まだ10分あるじゃん。」
「10分前行動っていつも言ってるじゃない。」
「おくれるよ?」
「待って、俺弁当忘れた。」
「ここにある。」
「よかったー」
俺たちは一緒に暮らすようになった。
「地下鉄あと5分。」
「待って、俺鍵忘れたかも…」
「私がかけたから大丈夫」
「さっすがA。俺の自慢の」
「はいはい無駄口叩いてたら乗り遅れるよ!!」
夜はあんなにかわいかったのに…とつぶやくと、つないだ手に爪が食い込む。
「いだいいだいだだだ」
「今のは徹が悪い。」
「じゃあいつものは?」
「徹が悪い」
「それじゃあ俺全部悪いじゃん!!?」
「そういうこと。」
干渉しすぎない性格だからか、同棲もなかなかうまくいってる。
喧嘩はそりゃあするけど、すぐ終わるし。(俺が折れる。)
夜だって健全だし。(俺が襲う。)
家事の分担だってうまくいってるし。(俺が怠ける。)
デートだってするし。(俺が連れ出す。)
本当にうまくいっているのかわからない部分もあるけれど、とりあえず幸せ。というかすごく幸せ。
デレ期のAは可愛いし、それ以外の時も冷たくてもかわいいし。
なついたかなー?と思えば、突然爪でひっかく猫みたいな時もあるし。
あっ、今のは物理的に引っかかれるって事じゃないからね。
でも、ふと背中を見たりしたときに思う。
もしあの時、Aがシャーペンを落としていなかったら、今がないかもしれない。
ということは、つまり。
これから先の日常を全部含めて、神様からの俺への誕生日プレゼントっていうことだ。
・・・って勝手に思っている。
「Aー、まってー」
「速く走って、バレー馬鹿!」
「馬鹿はひどいんじゃない?!」
ああでも、もし本当にそうなんだとしたら。
神様、本当にありがとうございます。
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作者名:萌菓 | 作者ホームページ:https://twitter.com/fruit_kandume
作成日時:2017年6月15日 2時