それでも俺は君を愛してる (ページ22)

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第12話ページ22

【風磨目線】

Aの外出日、俺にとっては久し振りのAとのデート。
遠足前日の子供のように、昨晩からドキドキで眠れなくて若干の寝不足を感じながら、いつも以上にバッチリとキメて家を出た。
Aを病院まで迎えにいくと、そこには久し振りに普段着を着ている彼女の姿を見る事が出来た。
Aの母親も一緒にいて「今日はお願いします」と頭を下げられて、俺も頭を下げ返す。

「じゃ、行こうか」

「はい。今日はお願いします」

向けられる笑顔は、見慣れた眩しい笑顔で、ただ敬語でよそよそしい姿が何処かもどかしい。
Aを連れて病院を出て、車に乗せればAは俺の車の中をまじまじと見ていた。

「なに、どうした？」

「あ、いえ…。懐かしい気がして」

「…そう？」

Aの発言に、思わず素っ気ない態度を取ってしまうが、やはり彼女の記憶のどこかには、きちんと俺との思い出が残っているようだ。

「風磨、くん」

車を走り出したところで、Aが俺の名前を呼ぶ。
頑張って俺のお願いをきいてくれたのか、やはりまだ呼び慣れていないのか恥ずかしそうにしている。

「風磨くんじゃなくて、風磨がいいなぁ」

「えぇ…？！」

らしくもなく、甘えた声でAにおねだりしてみれば、Aは暫く黙り込んでしまう。

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