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「桃と藍」 ページ8

「宏兄ー、120gのやつサラダ付きふたつー。

……ソース何がいい?」

「えっ。な、何でも……」

「んー。……

どっちも和風ねー」

ちょっと遠くから「あいよー」と声がして、私はスマホをいじり出す。



「……お、お兄さんがやってるお店なの?」


消えかけた声に顔を上げて、スマホをしまう。


「……ああ、宏兄ね、全然兄じゃない。
ただの友達。

キモいっしょ、宏兄とか。あの人そう呼ばないと怒んの」



……ほんとのオニーサンは、他にいるけど。


宏兄は好きだけど、あいつらは、嫌い。




「つか宏兄って呼んでる自分がキモいわ」って笑ったけど、あっちからは声聞こえなくて。



え、何このすべった感じ。



そう言ってまた笑うと、今度は笑い声が聞こえた。


「……やっぱり、神様だね」


桃井の発言に、さっきのトイレの神様を思い出して、笑いが込み上げる。



「さっきのトイレの神様っていうのさ。私のトイレでの話聞いてた?」

「え、いや……こないだのときはあの二人に「ダサすぎ。うける」って言ってたのしか聞こえてなくて……


……トイレで私を助けてくれたから、トイレの神様なの」



そして桃井は、嬉しそーにほほえんだ。



なーんか他人行儀だったのはそれでか、と思った。


私に近づいてくる大抵の子とはまた違った感じ。



何か、線引かれてんな。


「……別にそれで良いなら良いけどさ」

「へ?」

「なに、お前さ、これからも私のこと崇めんの?」


ぽっかーんと口を開けた桃井が、店員の腕に隠れた。


ハンバーグが運ばれてきたらしい。



鉄板をテーブルに置いたお姉さんに律儀にお辞儀をした桃井は、気まずそうに下を向く。



え、めんどくさ、なんて思いながらも私はハンバーグを口に運びはじめた。




ナイフとフォークが鉄板に当たる音だけが聞こえる中、かわいーい声に私は顔を上げる。


「あ、あの、私たち、友達に……」


え、まじ?

この子かなり鈍くね?

「呼び方」→←「トイレの神様」



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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時

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