「黄土色の空箱」 ページ39
撮影した写真データをディスプレイを見ながら確認している中、黄瀬は凄まじい勢いでずっと喋り倒していた。
いわく、社長に何か言われたらしい。
あのオッサンはすぐに昔話をしたがる上に話が長い。
こんなに綺麗な手のひら返しを見たのは間違いなく人生で初めてだったけど、こいつの言葉は何となくカラッとしていて、全く嫌味を感じない。
多分持って産まれた才能なんだと思う。
そもそもこういう切り替えが出来るってことは、頭の回転もそれなりに早そう。要領が良いタイプ。
「……黄瀬、だっけ。芸能界入ったの正解かもね」
「え?」
「その素直さ……ってか手のひら返しの早さ、この業界じゃかなり大事だと思うし。神経図太ければ図太い程良い」
「……それ褒めてる?」
「超褒めてる。向いてんじゃね?この仕事」
そう言えば「よっしゃ!」と嬉しそうにガッツポーズするあたり、マジで素直なんだなと思う。
悪意も好意も包み隠さないし、多分芯もあって要領が良いとなると、年上の先輩とかからウケ良さそう。
普通に世間的にもファンが付きやすい性格してるので、モデルやるにしてもそういうの押し出してくれる雑誌が向いてるかもしれない。
あとで水瀬さんに__いや、私がしゃしゃり出ることでもないか。
「あら、打ち解けたの?水瀬が若干バチってたって言ってたけど」
飲み物を買いに行ってくれていたらしい夏音さんが紙袋を両手に小走りで寄ってくる。
いつものように手渡されたアメリカーノをお礼を言ってから受け取って口に運ぶ。
思いの外冷たかったけど、まぁまぁ暑かったから助かった。
カフェインは苦手だったけど、浮腫み対策で撮影の度に飲むようになってから慣れてきた。
「違うんスよ、あれは俺が……」
黄瀬もコーヒーを受け取りつつ夏音さんに言葉を返す。
「それは分かってるわよ。Aあんまり同業の子に敵対心見せたりしないもの。リョータくんの一方的なやつでしょ?」
「でも俺も考えを改めたんで。これからは超仲良くなっちゃうっスよ!
ね!藍里っち!!」
黄瀬の言葉に嫌悪感で顔が歪むのが自分でも分かった。
「……あら、すごい嫌そうな顔」
「何お前たまごっち星から来たの?」
「たまごっち星って……
親愛の証ッスよ。俺尊敬する人にはあだ名つけるんで!」
「センス悪」
「ひど!」
「尊敬とか別にしなくて良いしそのあだ名で呼ばれるんなら死んでも仲良くしねぇわ……」
「エッ!」
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時