「出会ってしまったのならば」* ページ37
「え何?キモ……」と零す彼女の顔は芸能人とは思えない程歪んでいて、本気で嫌がっているのが見て取れた。
めちゃくちゃ新鮮な反応だ。
それにしても改めて見てみれば、確かに整った顔をしている。
所謂万人受けと言うよりは、「流行りの顔」というのがしっくり来るような、洒落た顔付きだった。
「何でそんな酷いこと言うんスか!俺ら同じ学校だし、仲良くしよ」
「うわ鳥肌立った今……サイコパスじゃん……怖…………」
「サイコパスて……」
「距離の詰め方が0か100しか無いじゃん……」
鳥肌が治まらないのか、自らを抱き込むようにして両腕を摩っている。
確かに彼女から見た俺の初対面の印象は悪かっただろうし、歩み寄っても拒絶される事は分かりきっていた。
それでも俺は、嬉しくないけどしつこい事には定評がある。
絶対に今日のうちに打ち解けてみせる、と意気込んでいれば、「ちょっとあんた達!早く荷物置いてメイクしてもらってきな」と彼女のマネージャーの声が響いて、彼女はこれ幸いと言わんばかりにそそくさと逃げてしまった。
容姿端麗で文武両道……ではなくともスポーツが出来た俺は日常に飽きてきていて、何か新しいことでもするかと芸能界に入る事にしたのは、ついこの間の話。
いくつもの事務所からスカウトを受けていたけど、特別な理由があったわけでもなく、まぁ知名度のある事務所の方が安心できるし、くらいの気持ちで「スターチス」というそこそこ大きい事務所を選んだ。
でも入所が決まり初めて事務所の本部へと足を運んだその日、俺はその選択を死ぬほど後悔する事になる。
……お察しの通り、スターチスは悪名名高い藍里Aの所属事務所だったから。
男好きだの何だのという悪い噂を幾度となく聞いた事に加えて、俺を差し置いて校内の知名度がダントツで高い事も彼女が気に食わない理由だった。
彼女に挨拶をしろとスタッフに言われたときは入所すんのを辞めようかとさえ思った。
その頃の俺はまだ「帝光中学の藍里A」しか知らなくて(それも9割が人から聞いた噂)、芸能人としての彼女についてはモデルをしていて何やら人気らしい、くらいの認識だった。
スタッフに叱られつつも社長室へ到着。
着いた瞬間、藍里に対する態度を社長へチクられた。
社長は思ってたよりかなり若そうで、スタッフの話を聞くと「ダハハ」とそのでっぷりした見た目からは想像もつかないような軽やかな笑い声を挙げた。
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時