「結ばなくても良い縁もある」 ページ34
「私の気持ちとかは気にしないわけ?私は黒子の事、別に好きじゃないんだけど」
そもそも私は何も聞かされてなかったし、勿論黒子と結婚する気もない。
.....というか多分、一生結婚はしないと思う。
ってか、出来ない。
右耳のピアスに手をやって、象られたRの文字をなぞった。
「分かってます。両親にも先程お付き合いしてどれ位なのかを聞かれたので、まだ気持ちすら伝えてない事を言ったら叱られました」
「だろうな」
両親はまともな人っぽくて安心する。
お見合いなんていう時代錯誤な事しなきゃいけない黒子には同情するけど、正直彼が誰と結婚しようが死ぬほどどうでも良い。
自分でも妙な縁があったものだと思う。
本当に変な一日だった。
多分忘れる事は無いだろうけど、私と黒子の関係は今日でおしまい、ってことで。
黒子の家の事情に関しては口外しないようにする旨を口に出そうとすれば、何でもない顔をした黒子に遮られた。
「なので、2ヶ月以内にAさんとお付き合いする事ができれば、他の方とのお見合いは諦めてくれるそうです」
「は?」
前言撤回、両親全然まともじゃなかった。
ずい、と黒子が顔を覗き込んで来る。
丸っこい瞳と目が合って思わず肩が跳ねた。
「ということで、早速ですがAさん。僕と付き合ってくれませんか?」
.....そりゃそうだよな、こんな家に住んでる、しかもこの黒子の親なんだから、まともな訳がなかった。
こんな中学生を育て上げた家庭環境とか、シンプルにめちゃくちゃ怖いのでとりあえず考える事を放棄して黒子に言葉を返す。
「無理」
「それは残念ですね」と思っても無さそうな顔で言う黒子に、今日何回目かのため息が漏れる。
「 明日も明後日も、2ヶ月後でも答えは変わらない。私は誰とも付き合う気なんかないから」
「未来のことはわからないじゃないですか。
僕、諦めが悪い事には定評があるんです。
2ヶ月間、僕の事を好きになってもらえるように頑張りますね」
頑張るとか言ってる割には、その言葉に熱量を全く感じない。
涼し気な顔で微笑むこいつにかける言葉が見当たらなくて、とりあえず軽く睨んでみれば、何故か嬉しそうに笑った。
ストレスか胃がキリキリと痛むのを感じて帰りに胃薬を買って帰ることに決める。
そんなこんなで、私と黒子の奇妙な関係が始まったのだった。
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時