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「こんな上等なものをてるてる坊主になんてできません……」
「僕の私物だし君が気にすることじゃないね！ほら、まだあるから君がお手本を見せてくれなきゃ」
そう言うなり別のポケットからまた同じハンカチを取り出してジュンさんに手渡しする。
心底勿体ないし、てるてる坊主にしちゃうくらいな
ら普通に貰いたいんだけど…。
「…布の中に、頭部にするために詰められるものが必要ですね、新聞紙とか…」
「あ、ならこの紙は…」
なんだかんだでそれぞれ作って、顔を書き込んで、可愛らしいてるてる坊主が三体、楽屋の壁掛けに吊るされた。
「うんうん、完璧な出来栄えだね！これで明日は雨なんて降らないね」
「はは、だといいですけどねぇ…」
2人は明日のステージに向けて思いを馳せているようで、てるてる坊主を見つめる瞳の中に、ちらちらとした輝きが見えた。
「さ、それじゃあ帰ろう！Aちゃんもお疲れ様、送っていくから乗るといいね」
「ありがとうございます」
日和さん家の車に乗るのは、3度目だな…
入るよう促され、最後に車へ乗り込む。
何度乗ったって慣れそうにない広さの車内は、明日への期待とともにある一抹の不安を映し出したように空の席が目立った。
「…明日は、上手くいくといいですね」
_______
「Aちゃん！」
翌日のお昼頃。
名前を呼ばれて振り返ると、普段着で現れたお二人が私に手を振っている。
「こんにちは、日和さん、ジュンさん！今日はよろしくお願いしますね」
天候は、昨日のてるてる坊主が功を奏したのか、曇りに留められていた。
「ほらね、僕の言った通り、雨なんて降らなかったでしょう？」
「怪しいですけどねぇ、なんだか分厚い雲が向こうの方に見えて…」
「…お二人の力で、吹き飛ばせますよ」
「「え？」」
「きっと、素敵なステージをしていただけたら、雨なんて降りません！」
…ちょっと、らしくないことを言ってしまったかも。
慌てて口を塞ぐ素振りをすると、日和さんは表情を柔らかくしてクスッと笑った。
「…うん、Aちゃんの言う通り！僕達は今日も完璧なステージをするつもりだし、そうすれば天気なんて怖くもなんともないね」
日和さんを太陽だと錯覚してしまいそうなほど眩しく笑うので、私もつられて笑みがこぼれた。
そうやって室内に太陽が居たからなのか、
私たちは窓の向こうで忍び足、ぽつりぽつりと落ちてくる雫の音にも気がつかなかった。
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るか(プロフ) - 更新ありがとうございます！作者様のタイミングでこれからもよろしくお願いします！ (2021年12月5日 22時) (
レス) @page37 id: 5416661d68 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 久々の更新になってしまい1部の読者の方を不安にさせてしまったかもしれません…今後もかなり不定期でゆっくり亀更新になるかと思いますが、気長にお待ち頂けたら嬉しいです…コメントもありがとうございます！ (2021年12月5日 1時) (レス) @page36 id: a194f605ec (このIDを非表示/違反報告)
羽憐(プロフ) - 続きが気になります！！更新楽しみにしてます！ (2021年7月5日 7時) (レス) id: dc480b39e0 (このIDを非表示/違反報告)
永久 - タイトルが出てきたので読んでみたら、すごくおもしろかったです！更新頑張ってください！ (2021年6月19日 20時) (レス) id: 8eb18355f8 (このIDを非表示/違反報告)
ムイ(プロフ) - ストーリーがとっても好きです！更新楽しみにしてます！ (2021年6月2日 20時) (レス) id: d436b19204 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓 x他1人 | 作成日時：2020年1月9日 2時
