.* ページ27
「…どうしよう、かな」
既に完成した服に対して余計な手を加えるのは得策とは言えない。
だけどこのままじゃ衣装が引けをとってしまう…。
「…そうだ」
青葉先輩に聞いてみよう。
図書室に通い詰めている間に、ほんの少しは親しくなれたと思っている相手だ。
先輩は手芸部に所属しているし、この違和感というか、物足りなさの正体に、なにか気づいてくれるかもしれない。
人から話を聞くのも必要なことだし、ね。
結局1から自分でやることにはならなかったけど、まぁ最初から無理な話だし。
意気揚々と図書室に行って扉を開けた。
いつも通り受け付けか棚のところにいるでしょ。
「…あれ？」
そこそこ広い部屋に、今は誰もいなかった。
人がいないのに鍵はかかってないなんて…。
どこにいるんだろう？手芸部、とかかな…行ってみようかな。
手芸部の部室に着き、軽く握りこぶしを作って扉を叩こうとしたその時。
「何をしているのかね」
「ひっ」
威圧感のある低音に思わず膝がすくんだ。
ゆっくり後ろを振り返ると、腕を組み仁王立ちする手芸部の部長…斎宮宗がそこにいたのだ。
「す、すみません!!怪しい者ではなくて…」
「ふぅん？その割には挙動不審だと思うけどね。」
頭から爪先までじろじろ見られたかと思うと、小さくため息をつかれた。
「…それで、いつ退けるのかね？僕はこの部屋に入りたいのだけれど」
「あっ、すみません、今__」
「お師さんっ？」
ガチャリ、と扉が開く。
そこには少しぎょっとしているみかちゃんがいた。
「あ、み、みかちゃん。」
「んあっ、Aちゃん。どしたん?あ、もしかしてお師さんと知り合い…」
「違うのだよ。早とちりも甚だしいね、全く…君がA、とやらかい。至って普通の小娘だ」
「え、ご存知で…？」
「ふん。顔は知らなかったがね。影片がぴーぴー喧しい時に、時折君の名前が聞こえてくるものでね。そのような人がいる、ということだけ把握していたのだよ」
「そう…なんですね」
ちらりとみかちゃんに視線やると、ニコニコ笑って…どこかドヤ顔のようにも見えた。
私自身斎宮先輩のことは知ってたけど、みかちゃんからこれでもかという程に話を聞かされて、威圧的な人なんだなぁと思っていたり。
「それで、手芸部になんの用なのかね？」
「あっ、えっと…青葉先輩に聞きたいことがあって」
「青葉？手芸部にはほとんどいないのだよ。」
「み、みたいですね、すみません、失礼します…」
「Aちゃん」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1437人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るか(プロフ) - 更新ありがとうございます！作者様のタイミングでこれからもよろしくお願いします！ (2021年12月5日 22時) (
レス) @page37 id: 5416661d68 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 久々の更新になってしまい1部の読者の方を不安にさせてしまったかもしれません…今後もかなり不定期でゆっくり亀更新になるかと思いますが、気長にお待ち頂けたら嬉しいです…コメントもありがとうございます！ (2021年12月5日 1時) (レス) @page36 id: a194f605ec (このIDを非表示/違反報告)
羽憐(プロフ) - 続きが気になります！！更新楽しみにしてます！ (2021年7月5日 7時) (レス) id: dc480b39e0 (このIDを非表示/違反報告)
永久 - タイトルが出てきたので読んでみたら、すごくおもしろかったです！更新頑張ってください！ (2021年6月19日 20時) (レス) id: 8eb18355f8 (このIDを非表示/違反報告)
ムイ(プロフ) - ストーリーがとっても好きです！更新楽しみにしてます！ (2021年6月2日 20時) (レス) id: d436b19204 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楓 x他1人 | 作成日時：2020年1月9日 2時
