404話 ページ45
K「夏代がどうやってうちの部入ったか知ってる?」
どろどろになったアイスと小さなブラウニーを口に含んでから
いぶくんが、ふるふる首を横に振った。
K「パフェ食べ終わるころにちょうど終わるような短い話だけどね」
聞く?
この質問にはこっくりうなずいた。
俺のコーヒーも具合よく、あと半分ほど残っている。
*****
4月も半ばの話だ。
2年生になった俺たちは、変わらず3人のみの“研究会”だった。
もちろん新入生を勧誘したい気持ちもあったけど、花やしんがビラなんて配ろうもんなら
それこそ、部へと昇格させてもらえるほどの人が来てしまうことだろうから
花「どうしたもんかしら…」
S「いいじゃんこのまんまでー。楽だし」
花「そんなわけないでしょ、だいたいあなた最近出席率悪いわよ、ちゃんと来て」
へいへいなんていい加減な返事をした。立ちあがった俺を見上げる。
S「茶ぁ淹れるの?」
K「うん。飲む?」
S「お願いしま〜す」
(どうしたらいいのかなー…)
ポットに茶葉をセットしながら思う。
どうにかしてあげたい気持ちはあるんだけど。
缶をロッカーにしまい、カップを3つ用意して教室を出た。
いつも通り―――お隣の茶道部の給湯室を借りる。
お湯が沸くのを待ちながら、そらるくんと、茶道部の部長さんと1年生がどれくらい入りそうかの話をした。
「そっかー、音研はうかつに勧誘できないよなぁ」
そ「どうするつもり?」
K「少なくとも僕にはどうもしてやれないかな」
そ「‘してやれない’って、後輩のできるできないは、けけくんにも関係あることじゃない」
(た、確かに…)
去年から部室が隣というので知り合い、今年は同じクラスになったそらるくん
__時々、自分でも気づかないような核心をずばりと言い当ててくる、眠たそうな黒髪イケメン。
まだ少し心臓をバクバクさせながら、礼を言って茶道室を出る。
…そうだ、当たり前だ。俺にだって関係のある、責任のあることなんだ。
どうして気づかなかったんだろう、“どうにかしてやりたい”なんて、上からものを言って。
――――ふと顔をあげると
目が合う。赤いネクタイに赤いうわばき、1年生だ。髪色がやや明るい栗色。
「茶道部って紅茶とかも扱うんすね」
一瞬なんのことかと思ったけれど
茶道室からポッドを持って出てきた俺を見てそう思うのは、なるほど自然な気もする。
だから、俺はきちんと否定した。「違うんだ」
K「隣のね、音楽研究会で飲むんです」
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アゲハ @ 元HIKARU(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!体育祭、楽しみです!!これからも応援しています。いつも素敵なお話をありがとうございます(*^^*) (2017年4月14日 17時) (レス) id: cd624d2203 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モノクロメロディ―。@ついった | 作成日時:2017年4月13日 22時