【歌い手】＿きみのいろ＿#10【ROC】

419話 ページ11

な「…俺だって早くれをるのとこ行きたかったよ」

れ「うん」

な「会いたかった」

れ「…うん」

鼻をすすって、あたしの背中の手が、ぐしゃっと制服を寄せる。

な「断り切れないくらい弱くてごめん」
れ「いいよ」

なるせはずっとずっとそうやって傷つかないようにしてきたんだもんね
いきなり変えるなんて、難しいよね

ずっとずっとそうやって、嫌な思いをしてでも独りにならないようにしてきたんだよね

(やさしいままでいいから)

嫌な思いをしなくても、あんたは独りじゃないんだって伝えたい


な「れをるがわかっててくれれば俺はいいよ」
れ「…ばかやろう」


その日の放課後は今までで１番、口数が少なかったんだけど
＿＿＿今までで１番、居心地がいい‘ふたりきり’だった。



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―――ピンポーン


花「あら、宅急便かしら」

つくりかけたブレスレットを、ストーンが紐から抜けていかないように
そっと置いて立ち上がった花さん。

部屋を出て行くのを目で追って、あっちを向いたままれをるちゃんが

れ「…花ちゃんの彼氏だったりして。」
『まさかぁ』


日曜日の午後。
私とれをるちゃんは、電車を３駅ほど乗って行った先の花さんのお家にお邪魔している。

土曜日と、日曜日の午前中は塾が入っている花さんに
もちろん予定をあわせるのは私たちの方。

(受験生なんだよね、先輩たち)

心に余裕があるというか、あんまりキリキリしていない先輩たちを、改めてすごい人たちだと思う


れ「AちゃんAちゃんっ」

ドアを半分開けて、廊下の方に顔を出している彼女が
ちょっと興奮気味に言い、すごい勢いで手招きをしてくる。

『えっなに?ほんとに彼氏さんだった…!?』
れ「違う違う、もっとすごいやつ!!」

私もあわてて手に持っていたものを置き
れをるちゃんの頭の上に自分の頭をのぞかせた。

(あれ?あの人って、)

＿＿よく目にしている、見覚えのある人

れ「進藤龍がしんくんのお兄ちゃんって、ほんとにほんとだったんだねー…」


「京都に撮影行ったからさ、お土産」
花「わざわざありがとね」

「あれ、お友達?女の子?あいさつさせてよ」

止める花さんの声を無視して、その人が私たちの方にまっすぐ来た。

あわあわと団子になって後ろずさった私とれをるちゃんの前で
ドアが勢いよく全部開き、しんさんのお兄さん――龍さんがこっちを見下ろす。



**さらば掲げろピースサイン！のいぶくん素敵

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