紅茶がなくなる頃に De20 ページ12
☆ほのか☆さん request
部屋いっぱいに紅茶の茶葉の香りが広がる。
「今日は何?」
「二ナスのマリーアントワネットブレンド!今日、お買い物行ったから買ってきたの。」
「そっか。」
カチャンと少しだけカップと皿が当たる音と一緒に明るい色の紅茶が目の前に置かれた。
「今日も綺麗な色してるね。」
「ふふ、ありがとう。」
もうお互いいい歳だからと、この休日も出かけることはしなかった。その前も、その前の前も。
でも、代わりにすることはAの入れてくれた紅茶を飲むこと。
「温かいなぁ。」
「もう寒いもんねぇ。」
ふーふーと冷ます彼女を見つめる。目が合って、笑い合う。
「最近、どう?」
「野球?」
「うん。」
俺はいい時も悪い時も野球の結果は家に持ち込まないようにしてる。野球のことは球場を出たら取り敢えず、忘れる。もし、持って帰ってしまってそのままAに当たりたくないから。
「あんまりかな…」
だからこうして話すのは珍しい。特に、Aから聞いてくるのは。
「そっか。」
「どうしたの?」
「え?いや、うーんとね。引退...とか、考えるのかなぁって。」
彼女が言うには、何でも最近よく流れる野球選手の引退のニュースを見て、気になったらしい。
「少しだけ。歳も歳だから。」
「そっか。そうなると野球してる幸太は見れなくなるんだね。」
「まぁね。」
寂しそうな顔をしたAが紅茶の液面に写る。
「そんな顔しないで。少しだけ考えてるとは言ったけど、引退する訳じゃないんだから。」
頬に手を添えて顔を上げさせると、そこには明るい顔に戻ったAがいた。
「そうだね。」
「うん。今年はもう厳しいかもしれないけど...来年はまた1軍のマウンドに上がるから。応援してて。」
「分かった!」
彼女がそう言う頃には、もうカップの中の紅茶は無くなっていた。
「お代わり...お願いしても?」
「もちろん!」
また、部屋いっぱいに紅茶の香りが広がる。君の笑顔と一緒に。
96人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こころ - こころです!はじめまして!埼玉西武ライオンズの金子侑司選手のリクエストお願いしてもいいですか?年上彼氏って設定でお願いします! (2019年4月20日 2時) (レス) id: e8384e56c4 (このIDを非表示/違反報告)
さや - 梶谷選手が好きなので、パスワードの話は笑っちゃいました。カープの安部友裕選手の話をお願いします(彼は背番号6です) (2018年8月27日 6時) (レス) id: e1494134c3 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽ(プロフ) - 初コメント失礼します!いつも楽しく見させて貰ってます。リクエストなんですけど、今永昇太選手で、甘々彼氏っていうのをお願いします!これからも頑張ってください!! (2018年8月3日 23時) (レス) id: 5c3fe8aaca (このIDを非表示/違反報告)
ぺとる(プロフ) - 雪さん» requestありがとうございました。ヤキモチ、とは程遠いお話になった気もします…w ギャグ路線に走ったお話ですが楽しんで頂けたら幸いです。 (2018年3月6日 23時) (レス) id: ddc15b59fd (このIDを非表示/違反報告)
ぺとる(プロフ) - 彩凪さん» ご指摘、ありがとうございます!全く気づいていませんでした、お恥ずかしい…これからも何かあったらよろしくお願いします。 (2018年3月5日 17時) (レス) id: ddc15b59fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ