九 生存 ページ10
『…っ』
吐き出し混凝土を赤く染めた。
その液体は臓物割いても戦っていたから当然の結果だ。
耳に響く超音波の様な不可解な音も視界を阻む瞼が不快には感じなかった。
「…あんたは何だ。」
慧は掠れた声を上げた。
無様に這いつくばった慧も見えない視力。
左目の欠損が決定打になった…もう視力が戻ることは無いだろう
『疲れた。』
そう云い視界が暗転した。
私の異能力は…記憶さえも取り込む。
『…此処は』
常闇島でも無い…そもそも常闇島の戦争は私が二歳の頃だ。
明らかに矛盾していた。
「うん、じゃあやくそくね！」「…うん。」
公園の鞦韆が春風で揺れる。
長椅子に腰をかけた幼子と少女二人が小指を結んだ。
一生傍に居ると、その約束は歪な呪いだった。
慧には異能力があった。
幻を使う異能、慧は唯その異能力に酔っていた。
「違うよ、慧…これは正しくない。」
自身の銃で度々倒れていく兵士達。
味方さえも問わないその異能は…私とそっくりだ。
「貴方もやれば？」
楽しいよ、と言いたげなその目に恐怖を感じた。
惑わし
惑わされ
嘘を吐露する
その嘘は銃の引き金を下ろした。
「もう一度…見つめ直そう。」
だが…同時に君の異能力に憧れていた…
私はどうすれば良いのだろう。
もう…離れるべきだ。
「そう、私一人で十分だから
もういいよ。」
これ以上は正しくない、君に解って欲しかった。
私は変わっていく世界を許す事は出来ない。
だから人殺しへと変貌を遂げる君も私も許せない。
腕を上げ、静かに病床から起き上がる。
『…太宰さんか』
その焦燥しきった顔は片目が塞がれていても良く見えた。
「…良かったぁ」『…そうか、終わったか。』
ふと違和感が浮かんだ
右手を覗くと乱雑に包帯が巻かれ、火傷のような皮が剥がれた腕が顔を覗かせる。
その上に黒手袋を被せた。
(image:http://uranai.nosv.org/uploader/common/6/2/2/6227649a465b20d874afde6581411ba9.pn
共喰い編が近い…恐らく今日の夕方、夜辺りに異能に感染する。
出来る事は少ない、けれども問い詰める事は出来る。
だから私は冷静に見定める。
『…フョードル・ドストエフスキー。』
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りおん(プロフ) - 地震ー！！！大丈夫でしょうか…！？寒いと思いますし、沢山困り事もあるかと思います…。でもささやかながら応援していますし、ボランティア頑張ります…！そして！！作品とても大好きです！！！人読み惚れしてここまで来ました…！応援しています…！！ (1月5日 13時) (
レス) @page13 id: b7dec916ad (このIDを非表示/違反報告)
サラミザラ(プロフ) - 地震大丈夫でしたか！？後片付け等色々ありますよね……黎明さんのお話やイラストが見れないのは残念ですが、１から読み直したりして全裸待機してます！！ (1月1日 23時) (レス) @page13 id: 250d9fc841 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黎明 | 作成日時：2023年12月22日 23時
