二郎ちゃんの難解な恋。1【ヒプマイ】 (ページ1)

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二郎ちゃんの難解な恋-1 ページ1

俺の好きな女子は、

所謂男好きと言われる女子だった。

しかし、好きになってしまうと
その相手のことが全て良く思えてくるのが不思議だ。

本来なら、男好きなんて知ったら絶対離れただろうし、好きにもならなかった。

ていうか、俺の嫌いなタイプ。

授業中、斜め前に座るAちゃんを寝たフリしながらたまに盗み見みる。

二郎「(はあぁ……まじ横顔きれー。可愛いぃ。)」

なんて思って満足するのが最近の俺。
喋りもしないのに一目見るだけで勝手に機嫌がよくなる。

同い年のはずなのに、他の同級生にはない綺麗さとか、上品さがあって、尊敬する。

まあ、男好きだけど。

どーにかして関われねーかな。

男好きかもしれないけど、普通に俺のこと1人の人間として好きになってくれたりとか…

人間として中身で仲良くならないと絶対に本気で好きになってくれない気がする。

ｺﾛﾝ

俺の前の男子が、机から消しゴムを落とした。

あ、落ちたな。
そう思って何気なく転がる消しゴムを目で追いかけると、それはAちゃんの机の足に当たり止まった。

A「あ…落ちたよ。」

「あ、ありがとう…！」

A「ふふ、いーえ。」

むか、と何か嫌な気持ちになった。
笑ってるAちゃん見て、顔赤くしてる男子。

あいつ、この前はAちゃんのこと「別に可愛くねー」とか言ってたやつだ。

言ってることとちげーじゃん。

変にプライドもって陰口まで叩いたくせして、結局それだ。
口だけのやつ、ほんと苛立つんだよなぁ。

A「…？」

二郎「(やべっ…！)」

俺が送る視線を、誰かから見られていると感じ取ったAちゃんが後ろを振り返った。

咄嗟に目を瞑って寝たフリはしたけど、一瞬だが目が合った気がする。

やべぇ、どうしよう。
変なやつって思われてねーかな。

引かれた？

ぐるぐると嫌な方、嫌な方へと頭は考えるのに、自分の胸は目が合ってからずっとドキドキしていた。

A「…ﾌﾌｯ」

二郎「(…いま、笑った？)」

おそるおそる、目を開くと
Aちゃんはこちらを見ていることもなく、ただ普通に授業を受けているだけだった。

なんだ…無駄に緊張したなー…。