ポーカーフェイクを小説で書いてみた。

プロローグ SHUFFLE ページ1

東京、その夜は街角のイルミネーションと残業に励む会社員たちが作るビルの照明によってきらびやかに輝き、光がない場所はないように見える。しかし、それは地上の話である。


　光がすべての場所に注がれるのならマフィアなどは存在するわけがないように、東京のすべてが光の当たる場所ではない。それを象徴する場所、カジノが東京の地下に存在する。

　東京都23区、あるビルの地下三階、そこのフロア一帯は東京を代表するカジノの一つ、政府からの許可がない、いわゆる違法カジノである。ほとんどのゲームがテーブルゲームのみのフロアだが連日人がおしかける。仕事の鬱憤を晴らしに来た者たち、ギャンブルを仕事とする者たち、一獲千金をかけてやってきた者たちなど多種多様にわたる事情を抱えた者たちが集う場所。


　それがカジノ『SHUFFLE』。



　『SHUFFLE』では二つの掟がある。
　１.『SHUFFLE』内にいる間、すべての人間は『SHUFFLE』に登録されたニックネームを名乗ること。また、『SHUFFLE』内では携帯電話やディジタルカメラなどの撮影機材やボイスレコーダーなどの録音機材、本人の特定が可能となる物の持ち込みは固く禁ずる。
　

　２.もし持ち金がなくなった場合『SHUFFLE』に前借を行うことができる。ただし、月末に全額返済できなかった場合、『SHUFFLE』で強制労働となる。
　

　１は本名ばれによって発生するトラブルを避けるためであり、２は従業員の確保のためだ。『SHUFFLE』に前借をする人間のほとんどは追い詰められており、返済めどなど最初から皆無、返済をするにしても莫大な金額に膨れ上がった借金を返すのは一年や二年程度では返せるものではない。そのため、『SHUFFLE』の従業員のほとんどが元客である。

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