誤解が解けた義眼の女子大生が東都水族館に行く話。【純黒の悪夢】

友達と夢主 ページ5

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　「ありがとう、その気持ちだけでも十分だ」




　「何か、私にできることは？」





　自分だけ何もできないのは嫌だ。





　「結衣。貴女は、事情を把握している数少ない人物になるわ。





　だから、これから事態が動いた時。




　できるだけ動けるようにしておいてほしいの。





　頼むにしても一般人が動ける範囲を考慮するし、無理はしなくていいから」





　「分かりました。」





　私は二人に頭を下げると、沙羅ちゃんが待っている部屋のドアを開けた。






　「沙羅ちゃん」





　パイプ椅子に座って俯く沙羅ちゃんに、歩み寄る。





　「……結衣、ちゃん…………」





　一度だけ私の方に顔を向けて、膝に置いた手を握りしめる。






　「……変、だよね……。自分から望んでNOCになったくせに、怖くてたまらないんだ。





　こんなこともあるって覚悟してたのに。




　可笑しいよね」





　もう聞いたんだ。NOCリストが盗まれたこと。





　「可笑しくなんかないよ。」





　僅かに、拳を緩める彼女。





　「誰だって、怖い。自分の命が危険にさらされたら。





　沙羅ちゃん、昔、私を守ってくれてありがとう。





　だから今度は、私が守るよ。




　沙羅ちゃんのこと」





　「……ありがとう、結衣ちゃん。そう言えば、時間大丈夫？」





　「あ”」





　ヤッバ、すっかり忘れてた。





　「ごめん、もう行くね！ くれぐれも気をつけて！」





　「行ってらっしゃい」





　クスクスと笑う沙羅ちゃんに手を振って、FBI支部を後にした。









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