謀反じゃない。守る為だ ページ34
「ふっ……ぐぅ……」
「どうしたんですか?」
「ごめん……アズ……ちょっと、放って……っ……」
「Aさん?答えになってませんよ」
呆れ気味に答えるアズールが、Aの方に向き直る。
その瞬間、アズールの目が見開かれる。
───Aが心臓を押さえて蹲っていたのだ。
「Aさん!」
「いっ……うぅ……だ、いじょうぶ……!」
「そんな訳が──」
「大丈夫!命に関わる事じゃない……はぁ……ほら。時間が経過すれば治るから」
へらりと笑うAとは裏腹に、アズールは眉間に皺を寄せる。
何かの流れを追うように瞳が動く。
釣られて、Aの視線もその先を追う。
「……ヘビ五郎さんと話をさせて下さい」
「は?何で?」
「胸の痛みについてですよ」
「いや、この痛みはこっちの世界に来る前からあったものだし、肋間神経痛って言ってストレス性の──」
「早くしろ」
語気を強くしたアズールに気圧され、Aは俯いてから右足に手を伸ばす。
「……ヘビ五郎」
「なぁに?ご主人様」
「アズから、話があるんだって」
「ふぅん……僕も話があったから丁度いいや。ご主人様は寝てなよ」
「え、起きたばっか……」
「おやすみ!」
ヘビ五郎がカプリと元居た右足に噛み付く。
瞬間、バタリとAが倒れる。
「Aさん!?」
「安心しなよ。死にはしないよ」
ワタワタと倒れた身体を自身のベッドに運ぶアズール。
その様子を見ながら、ヘビ五郎はご自慢の白い体をくねらせ、アズールを睨む。
「で、何やってくれてんの?」
彼女の身体に布団を優しくかける手が、一瞬、動きを止めた。
しかしアズールは、そのまま優しくかけてやり、慈しむように彼女の頭を撫で、白い蛇に向き直った。
「それはこちらのセリフだ。彼女の胸の痛みは、あなたが原因でしょう?」
向けた視線は、深海のごとく深く、流氷よりもずっと冷たい。
ヘビ五郎も、一瞬怯むが、負けじと自分の視線を突き刺す。
「ふざけるな。自然の摂理は曲げるべきものじゃない」
「曲げてなんていませんよ。けれど、致し方ないでしょう?」
「何がだ。お前は自分の未来さえ受け入れて、ご主人様を番にしたんだろ!!」
「……あぁ、そうですね。ですが、僕は思ったんです。人魚の寿命は、人間からすれば不死にさえ思える程に長い」
アズールの瞳に、瞳孔の横スリットが見える。
不快そうに、その目を細めた。
「添い遂げて頂きたいだけです。何の問題が?」
55人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
とある誰かの作品倉庫(プロフ) - 茨の國のぼっちさん» ありがとうございます!!!もう願望詰め放題パラダイス(???)な自己満作品なのですが、喜んで頂けて泣いて喜んでおります!!(セベクボイス)結構お話も長いと思いますので、ぜひ、ご自分に合ったペースで読み進めて頂けると幸いです(笑) (2021年5月6日 20時) (レス) id: ba04661380 (このIDを非表示/違反報告)
茨の國のぼっち(プロフ) - この作品にすごくハマりました!夢主とアズールの性格と、糖度が好きすぎます!一気に読んだらすぐ終わっちゃうので、一日頑張ったご褒美に読んでますw (2021年5月6日 18時) (レス) id: 9a68fed22a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:とある誰かの作品倉庫 | 作成日時:2020年12月24日 9時