10話 ページ11
そして、いよいよ、喧嘩賭博が開催された。昨日の夜、馬頭に考えた。本当にいいのかと。タクヤが、目の前で苦しむ姿を見ても、いいのかと。
いや、ダメでしょ。やだよ、もう4人苦しめんの。私は1度逃げたんだから、今ここで償うべきでしょ。うん、だよね、うん。
「ハーイ、お集まりのみなさーん。本日の対戦カードはメールで送ったと━━り!!」
会場が湧き上がった。
「桜中の小島!!」
「うぇーい」
「うぇーいじゃねーよボゲ!!」
「チョーシこいてんじゃねーぞハゲ!!」
「そして、溝中の山本だぁ!!」
「死んでこいロン毛!!」
「ビビってんじゃねーぞコラ!!」
喧嘩賭博で、試合が開始される合図になるのはキヨマサの一言。言うなら、今だ。
「キヨマサ!!」
彼が口を開くより先に口を開く。私がキヨマサを呼び捨てにしたことに、会場にいる全員は驚きを隠せない。4人は、顔を青く染めている。
……大丈夫、なんとかなる。もう、こう思うしかない。
「毎回毎回、他校同士の喧嘩なんてつまんねえよ。観客たちも見飽きてる!だから、こうしない?王様VS奴 隷……下克上の戦い!
私が勝ったら、キヨマサとその取り巻きが私らの下に着く。私が負けたら、何でも1個、アンタらの言うこと聞いてやるよ。
面白いでしょ?ねえ、キヨマサ、アンタにとっても悪い話じゃないと思うんだ。タイタン、買ってくれるよね?」
よく動いた私の口!つか、よく言えたよ、んな馬鹿なこと!
怯えているのがバレないように、真正面からキヨマサを見つめる。
「花垣、女だからっていつまでも手加減されてると思うな。後悔すんなよ?」
キヨマサはそう言うと、昨日殴られた所に重い一撃を入れてきた。正直に言おう、めっちゃ痛い。意識飛ばさなかった私をさ、褒めて欲しいわ。
「……はは。昨日散々しごかれたから、痛みに耐性出来たみたいだわ。だからさ、本気で来ていいよ。それとも、それが本気なわけ?」
「A!」
……やっべ、なんで今煽った?
案の定、キヨマサの目の色が変わり、先程とは桁違いの重さの攻撃が襲う。ずっと全身痛いし、意識手放そうにも痛くて手放せなくて困る。
つーか、こんな時でも顔殴らないのね。なんで??
やっぱ加減してんじゃね?まあ、ありがたいけどさ。
「もういいよ!A!」
「いんや、まだまだ……!」
地面に倒されようが、すぐに立ち上がる。場の盛り上がりも、だんだんと上がっていった。
47人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:くー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Qoo01411/
作成日時:2022年7月4日 20時