【文スト】神の御加護がありますように【刀剣乱舞】

9 side:刀剣男士 ページ9

彼女は勘違いをしている。

自分が死んだことを、まるで昨日のことかのように思っている。

しかし、彼女があの本丸で亡くなって、とうに200年は過ぎていた。

200年経っても、彼女の魂はあちらの世界での転生を果たさなかった。

きっと、敵に殺された時に、魂にそういう細工をされたんだ。

だから、僕らは運んだ。

君の魂を、君が生きられる場所へと。

選んだ世界は随分と血生臭そうだけど大丈夫さ。

僕らがついているから。

どんな悪意からも、どんな汚い感情からも、

全ての害悪から君を守ろう。


一つ心苦しいのが、そのままの姿で転生させてあげられなかった事だ。

こちらの世界で魂の定着をさせるにはあの齢(よわい)が適切だった。

まだ、霊力が弱かった頃のあの姿。

彼女の負担にならないためには、短刀一振りの顕現が精々だ。

本当なら僕も行きたいところだけれど、

打刀は懐には入れられないからね。

もう少し君が大きくなって、

霊力が元に戻ったら、

その時は

刀剣男士(ぼくら)の全てが目を覚ますよ。


だからその時まで、

周りの人の子(きみ)たちが、

彼女を守るんだ。


名前を知る事は、

魂を縛ることと同義。

彼女が呼んだら、

君たちは死ぬ気で守らずにはいられない。

大事な彼女を。



僕らが彼女の元へ戻るまでの代用品。

傷一つでもつけたら許さない。

その場をすぐにでも祟り場にしてやろう。



だから、

絶対に彼女を守るんだ。

人の子が、きちんと彼女を守るように、

仕向けるんだ。









「…ええ、わかったわ。」

「？エリスちゃんどうかしたのかい？」
「なにが？」
「今何か言わなかったかね？」
「なにも言っていないわ。
なぁに？リンタロウとうとう耳も悪くなったの？」
「ヒドイ！でも可愛いから許す！」






これはエリスが、神々の加護を受けた少女を見つける2時間前のお話。

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