11 ページ11
「カミサマも、緑茶は飲めるのかい？」
「大丈夫ですよ。いただいてもいいのですか？」
「もちろん。」
おじ様が前田の分まで緑茶を淹れてくれた。とっても美味しい玉露。
お高そう、すき。
「…とても美味しいです。ありがとうございます。
あと僕のことはカミサマではなく前田でいいですよ。
カミサマは僕だけではないので。」
「八百万の神様って本当にいるんだねぇ…。わかったよ、前田君。」
「マエダ！Aのカミサマってどれくらいいるの？」
「…、少し答え方に困りますが、うちだけならば70以上はいましたよ。」
うちの本丸にいた刀達の本数を数えればそうなるよね。
皆、元気かなぁ…。
「カミサマ、かぁ…。」
治お兄ちゃんはうーんと唸り、リンタロウおじ様は眉を少し下げている。
「…分かってはいましたが、森殿も太宰殿も、あまりそういう類が好ましくないのですね。」
「私は
「好ましくないというか、まぁ、信じてはいない感じだね…、神様は、いないと思うよ。
少なくとも、僕にはいない。」
「…そうですか。
別に気にしませんが、一つ言うとすれば、神はいますよ。
ただし、神はとても気まぐれで自分たちの好みがあるので、
純粋で、
素直で、
心から僕たちを信仰する者しか、
全てを僕らに捧げてくれる者しか、
本当に僕らを信じてくれた者しか、
救うことはしないと思います。」
少なくとも、僕らはそうでした。
そう言って、悲しそうに前田は笑った。
「出会ったときの拙い祈りの言葉も、
傷ついた仲間のために嘆く声も、
まだ見ぬ未来のために怒れる顔も、
僕らを庇って血に濡れた、弱々しい…笑みだって…、
全部全部、
主君が主君だったから、
あんなに悲しんでっ…嘆いてッ…次を願ったんです…！」
『まえだ…。』
なんと声をかければいいか分からなくて下を見る。
まさかそんなに思い悩んでいたなんて、夢にも思わなかった。
迷惑ばかり、かけていたのにな…。
「…、すみません、少し、熱くなりすぎてしまいました。」
「…気にすることは無いよ。貴重な意見が聞けたようだ。
ただ、少なくともこのビル内には、カミサマたちのお眼鏡に叶うような存在はいないだろうね。」
『…どうして？』
困ったように笑みを浮かべるおじ様。
『じゃあ、わたしがみんなのかわりにおいのりする。
かみのごかごが、ありますように。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1078人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Hi！ - はじめのエリスちゃんの言葉にやられました。好きです！ (2019年7月14日 23時) (
レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
しの - マッジで面白いねんけど 更新待ってますね (2019年7月12日 0時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - わさまんさん» それに気が付くとは…。知られたからには…。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - silentさん» ありがとうございます。いいことがあって悪いことがあったら次はまたいいことが来ますよ。例えば賽子6・6とか。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - KISH○W推し(女)さん» ちゅやはいいぞ。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カノン | 作成日時：2019年6月6日 19時
