03.クラスでの話 ページ5
寝たフリっていうのは自衛だと思う。
相手に、自分は寝ていると思わせたい行為。つまり、起きているとバレたくないからする行為ともいえる。寝たフリするときの状況はさておき、自分のための行為ってことに変わりはない。本当にこれ以上ない便利な逃げ方だと思った。
私は今、寝たフリの有能さに感激している。
｢三峰ちゃーん！｣
｢こっち見てって！｣
｢アイツまじ起きねぇじゃん、やばくね｣
｢陰キャかよ｣
……まぁ、現実逃避とも言う。
最近、やたら絡んでくる人達の嫌な笑い声がここまで聞こえた。スクールカーストは間違いなく一番上のグループ。遠くの席から私を呼ぶその声は、馬鹿にしてるような声色で居心地が悪いったらない。
でも、それより気になってしまうのは。
周りの子達は私をどんな目で見ているのか、ということ。それが毎回気になって仕方がない。哀れみ？同情？それとも同じように、馬鹿にしているかもしれない。そう思うと、途端に怖くて逃げ出したくなる。
＿＿ほっといて。
それが言えずに、もう何ヶ月も経っていた。
なにせ相手は他クラスにも友達が多い男女グループだ。もし仮に、本当に奇跡が起きて言えたとしても、恐らくこの"いじめまがいの案件"が大きくなるだけだと思っている。
弱者はこうして、強者に踏み潰されて生きていくしかない。学校が社会の縮図だと言うのなら、社会とはなんと素晴らしい世界なんだと中指立てるところだ。
たまたま目が合っただけで標的にされるような、そんな私が悪いのかもしれない。でも、向こうだって悪いんじゃないのか。いや、私が悪いのか。そうやってぐるぐる考えつつも、確かなのは起きたら負けだということだった。きっと無視してれば、その内飽きると
＿＿＿＿＿＿＿＿＿思っていた。
ガンッ。蹴られたような音と共に、机が揺れる。驚いて顔を上げてしまって、あっと思った時にはもう遅い。すぐ近くから聞こえる人の声に、喉がキュッと締まった。
｢やっと起きたのかよ、寝すぎじゃねコイツ｣
ゲラゲラ笑う声に動揺して、周りを見てしまう。あの子も、その子も、みんな、私を好奇の目で見ていた。目の前にいる人達の声なんて耳に入らないくらい、大きく鳴っている心臓の音。恥ずかくて、見ないでと心の中でひた叫ぶ。俯いて足元を見つめた。
｢なんか言えよ三峰｣
｢三峰ちゃーん｣
名前を呼ばれるたび、目が回りそうになる。うまく呼吸ができているのかも分からない。頭の中をかき回されてる気分だった。
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まどろみ(プロフ) - 凛さん» ご指摘ありがとうございます！すぐ修正しておきます！ (2019年3月11日 22時) (
レス) id: 2cd0a82a72 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - こんばんは！雲雀さんの口癖は噛みじゃなく咬みですよー (2019年3月11日 22時) (レス) id: 6bfe22f21c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まどろみ | 作成日時：2019年3月10日 22時
