45話 ページ1
みんなで靴を履くが履いてきたのは革靴だったため、春樹のスニーカーを借りる
「バックおもいでしょ」
貸して、とエナメルバッグを肩に下げる
『ありがと』
大樹の手を取りながら、ぐずり始めた季樹を抱き上げるA
「おにーちゃんも・・・」
小さな右手が差し出される
「え、あ、うん」
季樹を抱っこしたAと左手を繋ぎ、俺と右手を繋いだ大樹はどこかご機嫌な様子で家を出る
オートロックがガチャりとなる音を聞き、足を進める
『大樹、スケート楽しみ?』
大きく頷く大樹に優しい笑みを浮かべるA
「電車で行こうか」
駅までの道を少し急ぎ気味で歩く
駅につき、電車に乗るとお昼時だからか、満員電車に近い状態になっていた
運良く角を取れたから、左手で空間を作りAと季樹が押しつぶされないようにし、人混みに流されていかないように右手で大樹を抱き上げる
「A大丈夫?」
『うん、腕辛くない?』
「ちょっと大樹、くすぐったい」
大樹が俺の髪をくるくるだね、と言いながらわしゃわしゃしている
「大変ねぇ」
手すりを挟んですぐ隣の席に座っている70代くらいの上品なおばあさんに話しかけられた
返事をするまもなく続けられる
「2人とも若いのねぇ・・・私もねぇ、十代の頃に結婚してから、子育てで精一杯だったの、でもね、辛いことだけじゃなかった」
子どもは親の宝だものと、季樹や大樹を見て微笑むおばあさん
「ごめんなさいね、喋りすぎちゃったみたい」
こちら側のドアが開く
一旦降りておばあさんを通す
「子は宝、よ」
『はい!』
ふわっと笑い去っていくおばあさんを見届けて同じ場所へ乗り込む
「勘違いされたままでよかったの?」
『うん、子は宝なのは一緒だから』
そっか、と外の景色を眺める
もう少しで大学だ
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作者名:カイリ | 作成日時:2019年9月14日 19時