恋人未満の恋人【桃】season5

#224 ページ40

1年前の記憶を無くしたあいつが唯一普通に触れ合えるのは俺と天だけだ。

でもまぁあいつの性格が変わったわけではないので。

「やっぱり1年作り上げてきただけはあるね、マドンナの地位は揺るがない」

Aがまた学校に通うようになってもマドンナの地位は揺らがない。

「和泉さん、体大丈夫？」

莉犬が話しかけると「えっと……」と言葉を濁す。

「あ、ごめん！覚えてないよね！俺は赤瀬莉玖！」

「みんなからは莉犬って呼ばれてるよ」

莉犬と天が紹介するとAは笑顔を浮かべた。

「そうなんだ、ありがとう莉犬くん……記憶以外は大丈夫だよ」

「そっか！」

そう言うと莉犬はさっさと友達の輪に入っていった。

「天、莉犬と何話してたんですか？」

「るぅちゃん、体大丈夫かって話」

「なるほど…あ、黄戸瑠羽です、るぅとでいいですよ」

「るぅちゃんと私はいとこね」

天がいてくれて助かった。

でも、最近大変なのは俺の方だ。

「さとみくん、ここ数日疲れてない？」

「疲れたっつーかA不足でしにそう……」

「重症だね」

しゃーねーだろ！ハグもキスも出来ねぇ状態なんだよこっちは！

断言出来る、胸を触ろうものなら平手打ちが飛んでくる。

「付き合ってたこと言えば？」

「それが言えたらとっくに言ってる」

今はそんなこと伝えてもあいつが困るだけだ。

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