374話 ページ9
そんなレイの微笑みに対してザックは顔を歪める。何を考えているのかわからないとでも言いたげに、信じがたいと言った顔でレイのことを眺めていた。
「マジで言ってんのか……？」
「……うん」
「……そーかよ」
「うん」
「じゃあ、知れてよかったな……」
ザックがそっぽを向くと、レイは僅かにうつむいた。しばらくレイは満足そうにしていたが、やがてふと何かを思い出したかのように目を見開く。華奢な肩が小さく震えて、僅かに縮こまる。その見開いた瞳に影がさして、虚ろに染められて。
「……──」
小さく呟いたレイはエレベーターの壁を見つめたまま、黙り込む。──否、エレベーターの壁ではない、遠くの何かを見つめて。レイの呼吸が一瞬乱れて、その事にAが口出しをする暇もなく、レイが言った。
「……ザック、A、あのね。実は……私……」
「……あ？」
「……どうしたの」
「……」
「おい……だから、なんだよ」
「…………私………」
喉まで出かかっている言葉を吐き出すか吐き出さないか迷っているかのように逡巡したレイはそっと胸をおさえて。ごくり、と息を飲み込むと同時に言葉を飲み込んだらしい。
「……なんでもない……」
「あぁ〜！？ なんだよ、それ！」
「……ごめんなさい。なにを言いたいか忘れちゃった……」
ザックが不満げに怒鳴る傍らで、Aは再びうつむいたレイの表情をうかがう。どこか遠くを見ていたレイの瞳は、なにかに怯えるかのように揺れていた。そんな目を見てAはかける言葉も見失う。その反対側でザックはレイの頭を軽く小突いた。
「しっかりしろ！ まだフロアは一つ残ってんだ！ラリってんじゃねぇぞ！」
エレベーターにザックの怒鳴り声が反響する。レイは力が抜けてしまったかのようにだらりと頭を垂れて、力なく頷いた。
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
