400話 ページ35
ザックの足が床にめり込んで、バキッ、と嫌な音がして床が割れる。
ガラガラと落下する床の木材と共に、ちょうどその上に立っていたザックの身体も宙に浮く。
一瞬思考が置いていかれて、すぐに床が落ちたのだということを理解する。
「ザック！」
Aは叫び、ザックは咄嗟にほころんでいない部分の床材を掴んだ。
木材が落ちてゆく下方向を見てみれば、そこにはそこの見えない奈落があった。落ちていったものが底にぶつかる音もしない。相当な深さであることだけは分かる。
「ふざけんな！ 落とし穴とか、どんな家だよここはよぉ！！」
間一髪床材に掴まったザックは落下せずにはすんだものの、いつ割れてしまうか分からない木材にぶら下がったまま這い上がれない。
運悪くも、Aのいる足場の対岸側にザックは捕まっていた。手を伸ばしても届かない上、そもそもこの体勢で引き上げることもできない。
(向こう側に飛びうつって……でもその衝撃で床がさらに割れたら……)
思考がパニックに染まり、良い方法が何も思いつかない。もがくザックも、どうすればよいのかなんて分からないまま、ただ床材に掴まっているだけで精一杯のようだった。
「あぁ……くっそ」
ザックが掠れた声を出す。床材を掴む指先が震え始めている。
何か使えそうなものは、Aが辺りを見渡し───その、視線の先で。
「お前は少し慎重になるべきだな、ザック」
聞き覚えのある声とともに、暗闇の奥から一人の男が姿を現した。紫色のカソックと、首からさがるロザリオ。
「神父、さま……？」
Aが呆然と呟く。
現れたグレイは、床材に必死に掴まっているザックを見下ろしながら、皮肉めいた表情を浮かべた。
「とはいえ、当然こうなるだろうとは、思っていたが……」
床材に掴まるザックの手元に立ったグレイの気配に、ザックは必死で顔を上げた。
「……！ うるっせぇ！ なんでテメェがここにいる！」
思い切り顔を顰めたザックがいましましげに叫ぶ。そんなザックの様子をグレイは黙って見つめていた。
そして、不意に。ザックの腕を強く掴んで、その身体を軽々と引き上げた。
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
