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392話 ページ27

「……なんだ?」


 ザックの声にAがそちらを振り向く。


「扉?」


 先ほどまでテーブルがあった位置に、床下収納のような扉が備えられていた。



「……地下でもあんのか?」


「このビルに限ってはただの収納を設置するとは思えないし……ザック、その扉開けられる?」



 Aが聞くとザックは早速扉に手をかけて開けようと試みるが、取っ手の金具が音を立てるばかりで扉が開く気配はない。


「かてぇな!」


 ザックは押したり、引いたり、叩いて踏んでと扉を開けようと奮闘するが扉はビクともしない。床下に続くこの小さな扉ですらもこのフロアでは頑丈に作られているらしい。



「カギついてんのか……?」


「……だろうね」


「くっそ、カギ探すのかよ! めんどくせぇ!」



 ザックは最後に扉をガンッと踏みつけると、勢いよく振り向いた。



「ここにカギ、あんのか……?」



 ばっと立ち上がったザックは手当り次第と言った風に辺りを探り始める。その仕草にどこか焦りが滲んでいるのはレイがダニーと二人きりの状況が続いているからだろう。食器棚の中の皿やコップをいくつも落として割っている。


 Aもまた冷蔵庫や流し台の下などを確認するがそれらしいカギは見つけられない。



「ザック、別の部屋も……」


 と、Aがザックに声をかけたその時。ザックはコンロの目の前で、少し呆然とした様子で立ちつくしていた。まるで、そこから上がる炎を幻視しているかのように。


 思わずAも続く言葉を無くすが、気を取り直したかのようにザックがコンロに背を向けたのを見て取り直した。



「ザック、とりあえず別の部屋も見てみよう。あっちにはまだ行ってない」



 Aがキッチンの奥の部屋の方向を示すとザックは「おう」と短く返事し、スタスタとその部屋へと足を進めていった。一刻もこの場を離れたい。どこか、そんな足取りに見えた。


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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます!そしてお返事が遅れて申し訳ありません……!ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします! (2021年9月25日 2時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます!!楽しみに待っていました!夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください!! (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2021年9月1日 16時

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