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389話 ページ24

Aとザックは顔を見合わせた。きっと、歩き出せばまた矢が飛んでくる。しかしここで立ち止まっているばかりでは先に進めないし、いつ矢が飛んでくるかも分からないのだ。躊躇している暇はなかった。



「おいA……避けろよ」


「もちろん。わたしは、大丈夫」



 ザックの呼びかけにAが返答する。そして、二人同時に一気に駆け出した。


 刹那、前方から飛んでくる数々の矢。相も変わらず当たればタダでは済まないだろうが、これまでくぐり抜けてきた罠を思えば突破することは容易い。
───言ってしまえば、稚拙な罠だった。まるで子どもが考えたかのような、ごく単純でわかりやすいモノ。


 ザックが先に突き当たりにたどり着き、少し遅れてAも廊下の先へと駆け込んだ。B1に降り立ったその時に乗ってきたエレベーター前まで戻ってきたようだった。



「はぁ、ったく……意味わかんねぇんだよ」



 腹立たしげに吐き捨てたザックの息は随分と上がっていて、Aもまた肩で息をしながら頷いた。
 駆け抜けた廊下を見返すと多数の矢が散らばっている。扉に刺さるでもなく、落ちたそれらが、逆に扉の頑丈さを物語っていた。

 
 薄暗い辺りを見渡せば、二階へ続くのであろう階段があるのを見つける。先の見えないそれを見て、思わず行きたくないな、と思ってAは息を漏らした。きっとザックも同じ気持ちなのだろう。大きく息を吐き出して……それでもザックは踏み出した。



「おいA、行くぞ」



 ザックは短くそう言うと、いきなり二段飛ばしで階段を登り始めた。それを見てAも覚悟を決めた。この先にもきっと罠はあるだろう、それでも。大きく息を吐き出して、Aはザックの後を追った。

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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます!そしてお返事が遅れて申し訳ありません……!ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします! (2021年9月25日 2時) (レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます!!楽しみに待っていました!夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください!! (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リア | 作成日時:2021年9月1日 16時

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