388話 ページ23
＊
歩き出したはいいものの、ザックはずっとレイが閉じ込められた部屋の方を気にしながら歩いていた。Aも同じだが、二人してそわそわしているばかりではかえってレイが危ない。振り返りたくなる気持ちを抑えて薄暗い廊下を進んでいると───
シュッ。
と、そんな風を切るような音がして。戸惑って動くこともできないままに、Aの頬のギリギリを何かが掠めていった。肌を僅かに切られたAはハッとして立ち止まり、微かな痛みを伝えてくる頬に手を寄せた。血の色。そして、その傷をつけたのは───前方から飛んできた鋭い矢だった。
「おい、大丈夫か！？」
「平気、だけど……今のは、」
「矢……だったよな？」
動体視力のいい二人には見えていた。前方から飛んできたのは人の命を奪うに申し分ない鋭さの矢だった。大きさ、勢い、速さからしても当たれば致命傷になり得る事は想像に難くない。動くこともできなかったAが射られることがなかったのは、ほぼ幸運だろう。無意識に廊下の真ん中を歩くことを避けていたことがAの命を救った。
(これは……罠？)
Aはゴクリと息を飲む。一歩間違えれば命を落とすことになっていた。意志のない罠は、このフロアに足を踏み入れた者の命を等しく奪い取る。
「なんだここ、どうなってんだよ！」
ザックが訳が分からない、と言ったふうに怒鳴る。
「……これじゃあ、殺しにかかってるようなもんじゃねぇか！」
───このフロアは、レイそのものだとダニーは言った。これではまるで……
(レイが、わたしたちを殺そうとしている)
そんな考えにたどり着いた瞬間にゾッとした。Aは殺される気など微塵もない。きっとザックもそうだ。レイを殺すのは自分であると思っていても、自分を殺すのはレイではないと思っているはずだ。だから、こんなに困惑した顔をしているのだろう。
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リア(プロフ) - ゆゆさん» ゆゆさん、コメントありがとうございます！そしてお返事が遅れて申し訳ありません……！ようやく夢主が前に進む覚悟を決めることができました。残るフロアはあとわずかですが、ぜひ最後までお付き合いください。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします！ (2021年9月25日 2時) (
レス) id: d0c52e385f (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 続編おめでとうございます！！楽しみに待っていました！夢主ちゃんが、きちんと前を向いて進んでいけそうなので、ホッとしました。次はいよいよB1……。夢主ちゃんがどう動くのか、とってもワクワクしています。リアさんのペースで、更新頑張ってください！！ (2021年9月4日 17時) (レス) id: 0ff7621059 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リア | 作成日時：2021年9月1日 16時
